20020515

情け容赦ない日本社会
ロウソク生活 失業者が焼死

東京 林田 加代子

 

 毎日のニュースを見ていて、日本の政治がつくづく情けなくなる。米国には頭が上がらず、国民には居丈高、そしてアジアに対してはごう慢。危険な有事法制まで、自公保政権でごり押ししようとしている。
 こうした政治を反映してか、世間では暗い事件があとをたたない。カネのために人をダマしたり、殺したり。会社の存続のために賃下げ、労働者のクビ切り……。情け容赦ない社会だ。こうした社会で育つ子供たちの心がすさんでいくのも、無理もない。
 最近、悲しいニュースを目にした。連休中の5月5日、東京・荒川区の都営住宅から出火し、65歳の無職の男性が焼死した。
 男性は一人暮らしだった。ネジ製造業に携わっていたが、仕事がなくなり失業。料金を支払えないために、電気やガスもストップされた。卓上コンロで煮炊きし、ロウソクを照明に使っていたが、その火の不始末から出火したという。
 なんとも痛ましい事件だ。憲法25条の【生存権、国の生存権保障義務】にうたわれた「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とは、絵空事でしかない。
 政府統計でも300万人を超える失業者とその家族が、不安をかかえながら懸命に生きている。テレビ報道は、「不審船」やムネオ疑惑は大騒ぎしても、失業者の深刻な生活には見向きもしない。
 高校生の子供から、「若者が就職できないのは大人がやっている政治が悪いからだ」となじられた。確かにそうだ。今の政治を変えることは、大人の責任といえる。