20020515

新教育課程実施される
生徒のためになる教育を

余裕なく、さらに多忙に

中学校教員 名島 真吾

 

 新年度が始まり、約1カ月がたちました。実施前から評判の悪かった新学習指導要領が完全実施されました。昨年度から現在の職場で勤務していますが、「生徒指導」は多くの中学校がかかえる課題だと思います。しかし、今の職場は小規模ということもあり、生徒も落ち着いて諸活動に取り組んでいて、ほとんど生徒指導上の問題はありません。ですから、本来の仕事の授業に力を注げるはずですが、そうもいきません。
 その理由をいくつかあげてみます。1つは、土曜日が休業日になった分が月曜から金曜日につまったため、平日の余裕が以前よりなくなりました。たしかに学習内容は減っていますが、1年間で行う行事などはほとんど変わっていません。そのため、6日間で行っていた仕事を5日間で行っているようなものです。ゆとりどころか、よけい多忙になったように感じます。
 2つめは、総合的な学習の実施です。たしかにこの学習が本来のねらいどおり実施されれば、生徒にとっては教科の学習では得られない力が身につくと思います。しかし、実際には学校の中にいては十分にできないことが多く、かといって外に出るには教員の数が足りず、安全面が保障できない場合もあり、いつでもできるわけではありません。さらに十分な予算もありません。理念はいいが実行のための措置がなされていないのが現状です。
 3つめは、評価が今年度より絶対評価に変わった点です。絶対評価自体は悪くありませんが、授業時間ごとに達成目標を決めて、1人ひとりがその目標にどれだけ到達したかを評価することは容易ではありません。まじめにやろうとすればするほど、余裕がなくなります。生徒も内申点を意識して、評価のための授業かと考えてしまいます。
 さらに、減少するどころかかえって増えている不登校の生徒への対策や、以前よりきつくなった上からの締め付けと、地域の保護者からの要望にはさまれて、のびのびとした教育が実施しづらくなっているのが現状です。
 以前より教師に対する目が厳しくなっている現在、真に生徒のためになる教育を実施するためには、小手先の対応でなく、めざすべき日本の教育の進む道をしっかりと示すことが必要と考えます。上からの押し付けられた改革ではなく、下からの積み上げていく改革が今こそ必要だと思う新学期です。