韓国の民衆歌謡グループ「コッタジ」は、労働者の生活と希望と闘いを歌う。80年代後半の韓国の民主化運動の中で生まれ、民衆の中で育ってきた。5回来日し、歌を通じ日本の労働者との交流を深めている。
「コッタジ」とは、野原のどこにでも咲いている野の花の群生のこと。名前のいわれについて、「まわりの他の草たちと共に調和して咲いている花々は、私たち民衆の生きざまと団結を意味している」という。
韓国経済は97年のアジア経済危機以降、急速に悪化した。国際通貨基金(IMF)の管理下におかれ、強制的なリストラ、整理解雇などが続き、いまも電力やガスなどの民営化攻撃が続いている。
こうした中で、韓国の労働者は激しい闘いを繰り広げており、「コッタジ」の歌声は、「希望の歌」として、闘う労働者を力強く励まし続けている。
また、「コッタジ」は労働者だけでなくすべての民衆が、消費的で享楽的な文化ではなく、生きている文化を共有できるよう努力している。彼らの歌のテーマは、日本の植民地支配に対する批判、朝鮮の統一など、社会全体にも及んでいる。
彼らの歌はメッセージが鮮明で、力強い決意にあふれている。そのメッセージは国境を超えて、私たちの心にも響いてくる。メーデーには韓国で、彼らの歌声が力強くこだましていることだろう。「コッタジ」の歌をいくつか紹介する。
●岩のように●
岩のように生きてみよう
激しい雨風が吹き荒れても
どんな誘惑の手にも
揺らがないように
岩のように生きてみよう
風に揺れ動くのは 根が浅い葦だけ
大地に深く食い込む岩は
不屈に立っている
私たち みんなが 絶望に屈せず
試練の中で 自分を奮い立たせれば
やがてくる 解放の世の 礎となる
岩のように生きてみよう
●明日がくれば●
振り返ってみれば過ぎし日は
いつも喜びだけではなかったけれど
後悔せずに生きてきた日々の 誇らかな記憶
明日が来れば 笑いながら振り返るだろう
その日まで ほどくまい われらの固く組んだ手を
決してたやすくはないだろう
ときには寂しく 時には悲しいけれど
真の愛情は 試練の中で確かめられる
この暗闇(くらやみ)が晴れ 明日がくれば
陽光のように明るく笑ってまた会おう
●反撃●
肩を組んで胸をそらせ もう二度とウソの約束にだまされるな
こぶしを握って喚声をあげろ
本当の自由は握りしめた両の手の中
富める者の欲望の中に崩れゆく人生をみよ
いつになったらやつらは満足するのか
反撃! 少しずつ遠ざかっていくわれらの幸せのために
反撃! 少しずつ奪われていくわれらの権利のために
反撃! 少しずつ遠ざかっていく われらの幸せのために
反撃! 少しずつ奪われていく われらの血と汗のために
●タンポポのように●
タンポポのように生きるんだ
この胸に刻まれた熱い思い
どんなに踏みつけにされようとも
タンポポのように
冷たく厳しいこの世で 行かねばならぬ闘争の道
体をはって生きていかねばタンポポのように
特別でなくとも とりわけ輝いていなくても
だだっ広い原っぱに しっかりと根をはって
思いのままに花ひらく タンポポよ
ああ タンポポよ 熱き心よ
数知れぬ花の種となり
ああ 解放の春を呼ぶ タンポポの燃える魂で