20020305

職場に支部があるらしい… 労組事務室にはいつもカギ

当局の合理化案を推進 労組の役割自ら放棄

全逓組合員 吉田 和雄


 「○○局の集配課で減員されたらしい」、「△△集中局は数十人の定員減らしい」、「□□郵政局ではパワーアップ期待職員などといって、指名解雇の準備をしているらしい」、「こんどは××で自殺者が出たらしい」などなど。
 最近の俺の職場は「……らしい」の情報が飛び交っている。なぜ「らしい」なのか、その答えは簡単だ。労働組合からいっさい情報はなく、強制配転で転勤していった仲間からの口コミでしか情報が入ってこないからだ。
 郵政省は昨年1月の省庁再編でなくなり、総務省の郵政事業庁となった。そして3月、「郵便事業新生ビジョン」が発表され、各職場で当局から、「郵政公社になると、『予算主義から決算・損益管理へ』『定員管理から総人件費管理へ』……頭を柔軟にして……意識改革が必要です」と説明があった。小難しい言葉がやたらと並んでいる「新生ビジョン」。多くの職員がこう感じた。「公社化になると大規模な合理化があるらしい」と。

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 いまの職場に転勤して3年が過ぎた。組合は全逓に所属している。しかし、この職場には全逓の支部があるらしいのだが、だれが支部長で、だれが執行委賃なのか分からない。職場で聞いても「いま役員だれだっけ」と、いまだによく分からないでいる。組合事務室に行ってもいつもカギがかけられていて、たまに開いていても役員はいない。とにかく支部長の名前は分かったが顔を見たことがない。
 確かに俺は熱心な組合員ではないが、支部や分会の役員も組織運営に熱心ではないらしい。ここ3年間、全逓新聞も見たことがない。なにしろ配られたことがないのだから。
 こんな有り様だから、次々と出される当局の施策や効率化と称する合理化に対しても組合から説明をいっさい聞いたこともないし、職場集会をやっているということも聞いたこともない。
 とにかく組合掲示板もあるし、組合事務室もあるようだから、まぁ支部はあるらしい。そして、俺はいまだに全逓の組合員らしい。組合費だけはしっかりと天引きされているのだから。

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 ここ数年、組合も当局も一体となって民営化反対、民営化防止を唱えてきた。しかし、その結果として出てきたことは、人減らしと労働強化。さまざまなノルマの強制とかなり高圧的な労務管理だ。
 配転していった仲間で役員をやっている情報通がいるので、この間の出来事に対する組合の対応や方針を聞いてみたが、全逓中央や地本は当局の合理化方針や施策を容認しているという。しかし、俺から見たら、容認ではなく当局と一体となって推進しているとしか思えない。不況で大変だというご時世で、いまこそ労働組合の役割は大きいと思うのだが、全逓中央はその役割を自ら放棄しているとしか思えないのが、いまの職場の現状だ。
 俺は多くの人にこんな現状を知ってもらおうと思って初めて投稿したが、今度は現場のもっと生々しい実態を報告したいと考えている。
 そういえば以前聞いたことだが、俺の知っている、ある全逓中央の執行委員は、組合専従になったとたん新車を買い、しばらくしたら家を買ったそうだ。どうも専従になると羽振りがよくなるらしい。