20020205

「狭山異議申立棄却決定糾弾! 緊急抗議集会」に参加して

許せない司法の暴挙 人権守る連帯の輪を

人手不足で走り回る現場… 仲間と話し合い、パワー全開

三重県・吉田 信二


 「新世紀迎えし一歩踏み出せど心の闇は何時に除けん」 、 「世に目覚め未だ見ぬ夢は心底に蠢(うごめ)きもがく真の春待ち」  。この2首は、石川一雄さんが昨年と今年の元旦に詠んだものです。「真の春」は、また遠のきました。
 東京高裁第五刑事部・高橋省吾裁判長は、1月23日付で狭山事件の第2次再審請求の異議申立を棄却する決定を行ったのです。狭山弁護団は、この異議審でも8通もの鑑定を提出し、事実調べを求めましたが、高橋裁判長は鑑定人尋問をまったく行うことなく、一方的に弁護団の主張を退けたのです。
 東京高検には、2メートル以上に積み上げられた多数の証拠が存在するのですが、いまだに開示されていません。弁護団は、高橋裁判長に対して、刑事訴訟法279条に基づいて検察官手持ち証拠の内容照会、証拠リストの開示を求めましたが、それにはまったく触れないで棄却しました。絶対に許すことのできない司法の暴挙です。
 1月24日、私のもとに棄却決定の一報が入りました。正直言って、がく然としながらも意外に冷静でした。  しかし、その事実を仲間に知らせるための電話で「狭山が棄却されました」の一言を自らの言葉で語ったそのとき、背筋にゾーッと電気が走ったのが忘れられません。
 1月29日、東京の全国都市会館での緊急抗議集会に参加することができました。会場には、抗議の意思を持った数百人がつめかけ、それぞれの「怒り」や「憤り」をぶつけ合いました。
 「日本に正義はあるのか!」(組坂繁之・部落解放同盟中央本部委員長)、「『石川無実』を日本全国に、そして世界に知らしめていく!」(山上益朗・狭山弁護団主任弁護士)など各々の断固たる意思と声が満ちていきます。
 そして石川一雄さん、早智子さん夫妻からの心の叫び……。「真実は一つ」「身の潔白が明らかになるまで闘いぬく」という決意がわれわれ参加者の心を一つに……。  「無念と怒りを今こそ知恵と力に変えて」という声が、私の拳(こぶし)の握りを強くする……。
 狭山事件は、部落差別が生んだ冤(えん)罪事件です。冤罪は今でも続いています。決して人ごとではありません。市民一人ひとりの人権が守られる社会にしましょう。こんな司法を変える闘いはこれからです。
 かけがえのない大切なものを「狭山」から、私はこれまで学んできました。「狭山」を自らの問題として、今後も断固たる発言と行動を続けていきます。
 石川さんにかけられたままの「見えない手錠」を外しましょう。  今こそ連帯の輪を!