20011105

リストラを組合も説明せず

連合は失業問題に取り組め

電機工場労働者 渡辺 作二


 この漠然とした胸騒ぎはなんだろう。米国でのハイジャックによる乗客道連れの自爆テロ、その報復としてのアフガンへの空爆が今日も繰り返されている。証拠も示さず、「疑い」が強いというだけで、「過激派」に居場所をあたえているというだけで、米国は戦争を仕掛けていく、なんという横暴さか。
 このまま長引けば、なんの罪もない多数のアフガン国民が犠牲になると共に、米国はイスラム諸国の民衆から大きな反撃を受けることになるだろう。パキスタンをはじめ、中東諸国からアフリカ、アジアへと拡大する反米デモの炎は、原野を焼き尽くす勢いである。
 小泉内閣はどさくさ紛れというような乱暴な手口で、自衛隊の海外派兵に道を開いた。野党第一党の民主党の協力なしにこれほどのことができたのだろうか。
 それにしても、同時テロの影響がいろいろと取りざたされているが、国内経済にも大きな影を落としている。大手電機各社で大量の首切りが始まっている。
 この影響がいつ自分のところにくるのか、不安でたまらない。組合はまったくあてにならないのだ。松下では希望退職の募集に八千人も集まったとか、ずいぶん条件がよいのだろうか。しかし、いったん退職したら、つぎの仕事に正社員として勤められる人は少ないのではないか。多くの人はパートか派遣社員にならざるをえないだろう。
 昨日、会社のリストラ計画が発表され、新聞に小さく報道された。物わかりのよい組合なのか、役員からなんの説明もない。この工場に対象者がいないのか、組合など頭から信用していないのか、現場ではほとんど話題にもならない。
 上部団体の電機連合はベア要求断念のようだが、ここの組合の話題にすらならないことが「みんなの合意」のごとく、新聞で報道される。腹立たしい限りである。
 私は少し前まで、交替勤務で派遣会社から来た人といっしょに仕事をしていた。彼らの時給は千円から千二百円だ。
 若い人ならまだわかるが、五十歳代の人の給料がこれでどうやって生活していくのか。あまりにも時給が少ないので、主に夜勤を中心に月二百三十時間働いても月収二十三万円程度にしかならない。
 飲んだ席でAさん、Bさんに別の仕事を勧めたが、いくたの苦労がそうさせているのか、あまり乗り気ではなかった。年老いた親の面倒を見ながら大変な生活をしているというのに。
 失業者も労働者だ。連合の失業者に対する取り組みはないに等しい。寒さが厳しくなってきたが、段ボールやテントで暮らす人が少なくなるような取り組みがほしい。

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