20010925

社会的弱者は「ひん死」状態

だれのための構造改革?

自治体労働者 松永 浩介


 私は自治体の福祉事務所で働いています。今の仕事になって、ちょうど三年目を迎えますが、いっこうに出口が見えない不況のもとで、民間企業に働く人たちの厳しさを、日々仕事の中で感じています。
 私が担当する仕事は、窓口では生活保護の申請に来る人たちへの相談、また外回りでは給付を実際に受けている世帯のサポートです。
 給付を受ける人たちの事情はさまざまですが、働きたくても就職先がないとか、働いていても、生活が成り立たない程度の収入しか得られない世帯など、労働環境の悪化によるケースが増えてきているように思えます。
 働き口をあっせんするためにも、私自身も週一度のペースでハローワークを訪ねていますが、実情はいちだんと厳しくなっているように思えます。最近は「失業している人が仕事探しをあきらめて来なくなった」というようなこともいわれていますが、それでもハローワークはたくさんの人たちであふれています。
 実際の職種をみると、私自身が担当している人たちにあっせんできる内容もかなり限られています。高齢の人たちは条件も厳しいのですが、比較的若い人たちの場合も、条件的には選択肢はかなり狭められます。これだけの失業状態と景気の悪化を考え合わせると、誰しもこれから先行きに不安を感じるのは当然のように思えます。
 「公務員改革」の攻撃が始まる中で、公務員も安穏とできない時代となっています。職場にも漠然とした不安感は増しています。
 福祉事務所を訪れたり、電話で相談を持ち込む人たちの実情に触れると、政治の責任を強く感じます。小泉首相は「構造改革の痛みにたえろ」といいますが、社会的弱者はすでに「痛み」を通り越して、「ひん死」の状況です。だれのための「構造改革」なのか暴露していく必要さを痛切に感じています。

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