20010715

体をこわしてやむなく退職
雇用保険切れても職なし

ローンと教育費が払えぬ

失業者(44歳)盛岡 卓治


 これまで食品関係の現場で仕事をしていました。かなり重い物を運ぶことが多く、無理な姿勢で仕事をしている毎日でした。
 ある日、腕が痛くなって病院に行ってみると腱鞘(けんしょう)炎といわれ、通院しました。ところが突然、首がまわらなくなって、病院に行ったら頚椎(けいつい)のヘルニアと診断され、すぐに首に器具をつけられ、入院しました。一カ月半ほどで退院して職場復帰しましたが、体調が悪い状況が続きました。医者からは「いまの仕事はだめです」と言われました。
 そこで会社に配置転換を要求して職種を変えてもらいましたが、やはり無理がきかず、結局昨年の十一月にしかたなく退職しました。
 辞めてからすぐに求職活動を始め、事務系の仕事を探しました。何社か面接まで行きましたが、無理でした。そこで、職業訓練のコンピュータ講座を受け、講座終了後、求職活動をしましたが、やはりうまくいきませんでした。
 事務系の仕事を探していると、どうしても範囲が狭くなります。それに、会社側も事務系については、女性を雇いたいというところが多く、断られています。まして、歳が四十歳を超えているので、それもネックになっています。
 男女雇用機会均等法があるので、男女別の求人がなくなりました。探す範囲が広がったとみえましたが、実際は会社が女性を考えていることが多いようです。だから、会社に連絡するときも「男、四十四歳ですが」と言うことから始まります。たいていの会社は「来客接待や電話応対があるので…」と言います。つまり、お茶くみや受付を含めて考えていることを遠回しに言って、断られています。

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 先月から雇用保険が切れました。これで収入は妻の収入だけになってしまいました。家を建てたのでそのローンがあり、これがいちばん困っています。上の子供がが中学三年生、下が小学校六年生ですから、来年は高校入学もあります。そうしたことを考えると、不安になってしまいます。
 妻は「体が大事だから、無理はしないで。あせって働いて、体をこわしてもしょうがないから」と言ってくれますが、これからも仕事が見つからないとそうも言ってられなくなります。また、子供たちから「お父さん、まだ家にいるの」と言われるのがいちばんつらいことです。
 職安には毎日行っていますが、事務系の募集をみて驚くのは給料が安いことです。十三万円から十五万円というのが普通で、いままではだいたい三倍くらいの給料だったので、これではとてもじゃないが厳しすぎます。
 しかし、仕事がないよりはましだと思って面接に行きましたが、だめでした。仮に就職できてもそれだけの給料で、家のローンや子供の教育費などが払えるのだろうか、と思ってしまいます。そうしたことも不安でしょうがありません。

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 職安のほうでも、「地域を広げて探したら」と言われますが、家のこともあるのでなかなか難しいのです。いちおう、通勤可能な隣の市町村などにも行っていますが、そこの地場産業がつぶれていたり、かなり大きなスーパーが閉まっていたりするのが目につきます。そんな状態で仕事があるはずがありません。
 マスコミは、小泉首相を盛んに持ち上げています。だが、「痛みを伴う小泉改革」というのは、こうしたさびれた地方は放り出し、大都市だけを優先することだと感じます。
 これが弱肉強食の社会でしょうが、私のような失業者はどうなるのか不安でたまりません。

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