20010525

定昇ストップ、サービス残業
しわ寄せはいつも現場に

今年の春闘は長期戦に

機械製造労働者 富岡 勇治


 長引く不況の中で、賃金カットや定昇ストップなど厳しい毎日が続いています。今年の春闘は例年になく長引いていますが、定昇プラス千円のささやかな賃上げ要求実現めざして、最後の追い込みに入っています。
 景気の低迷と公共事業の減少で、空調メーカーはいずこも減収・減益にみまわれています。三年前に賃金が一律五%カットされ、その後回復されましたが、今度は定昇ストップという攻撃にみまわれました。ですから、今年の春闘ではなんとしても定昇プラス千円の賃上げを実現したいと、組合員の思いも特別のものがあります。
 賃上げ要求は、本来なら企業の動向と関係なく、働く者の生活の切実さから出発すべきです。ところが労働運動全体がおかしくなってしまい、ベアゼロ回答が目につきます。労働組合の集まりでも、会社の業績がよくないので「仕方がない」という意見が多く、苦労させられています。
 しかし、三月期の決算が赤字という予測がここにきて変わりそうになってきました。東品川、六本木など首都圏での民間による大型の再開発が始まり、仕事が忙しくなってきました。もちろん、定昇ストップや一時金の大幅ダウンで労働者をこき使ってのことですが、三月期は黒字決算になりそうだという風向きとなったのです。
 労働組合では、春闘結果を慌てず、黒字決算を確認してから要求実現までがんばろうと、例年になく長期戦となっているのです。
 現場は仕事に追いつかず、派遣会社からの臨時採用と残業でこなしています。しかし、設計部門などはサービス残業が横行し、組合としても対応できていません。仕事が減って競争が激しいので、仕事を受注するとき労働単価を極端に切り下げるため、サービス残業で補っているのです。年俸制のもとで、成績ばかりを気にする管理職は決して残業を認めようとしません。
 団体交渉の場でこの問題を取り上げると、会社はこうした仕組みを放置しておいて「残業したらきちんと請求して下さい」とぬけぬけと答えています。しわ寄せはいつも現場に働く人に押しつけられてしまうのです。
異常な支持率で小泉政権が登場して、「改革」旋風にみまわれています。職場でも、これに期待する人もいます。 先日、昼休みの雑談の中で「不良債権を処理して、景気を回復すべきだ」と言っていた人がいたので、私が「不良債権処理や、公共事業が減れば、この会社だって倒産するかもしれない」と言ったら、一瞬みんな黙り込んでしまいました。
 当面は仕事に追いまくられていますが、「改革政治」がどう具体化されるのか、労働者の失業がさらに増えそうですが、組合はどうなるのか、ヨーロッパや韓国の労働者のように力強く闘うのか、不安と期待が交差する毎日です。