20010515

営業部が崩壊し大幅減給

ああ、これがリストラか

パート労働者 橋田 浩介


 賃貸建物管理会社でパートで働いている。働き始めてまだ間もないが、不動産業界に吹く風の厳しさは、私にもすぐに感じられた。
 バブルの崩壊で最も打撃を受けた業種の一つが、不動産業界だ。それに大手を中心とした業界再編が、私の勤めるような地域の企業に打撃を与えている。
 賃貸マンションは仕組みがややこしい。大きなマンションでは、各部屋は最初にワンルーム一部屋千五百万円とかで分譲される。
 それを、さらに賃貸で月五、六万とかで貸し出すことになる。分譲を購入する人は投資目的で購入することになる。職種もさまざまで、保険会社や商社など一流企業はもちろん、市町村役所勤めや警官、自衛官など公務員も多い。
 そうした人たちがもうかっているかどうか、私はお金の管理はしていないのでよくわからない。だけど、普通はマンションは築年数が十年も過ぎると敬遠されるようになるし、老朽化したガス周りの交換や、入所者が代わる毎の修繕費などでお金が十万円ずつ消えていく。
 分譲で購入する人たちはローンで購入するので、当然金利もかかるはずである。電卓をたたいてみれば、右にあげた家賃でもうけが出るとはちょっと思えない。もちろん、その分は賃貸で借りる人が得をしているので、貧しいわが身にはありがたい話でもあるのだけど。
 実際、社員の人は家主から「だまされた」という類の愚痴を聞かされてウンザリするという話をする。日本の景気のせいにしてもいいが、家主の職種を見ていると、とても投資に対して知識のあるとは思えない人が手を出しているのは気にかかる。
 私の会社は、小さくて自分で客を取る能力がないので、駅前でよく見かける大手の会社に委託する。客はすべてそちらにもっていかれるので、営業部は崩壊、ついに大幅減給となった。「生活できない。辞めるしかない」。目の前でそうつぶやく社員の声を聞きながら、ああ、これがリストラというやつなんだなとしみじみ実感させられた。
 大手の攻勢は、客取りだけでなく私の働く管理部にも迫っている。ここも、パートの人ばかりで社員は少ない。パートとはいっても、いずれ私のところにもリストラのお役が回ってくるのかもしれない。