20010425

凶暴な資本家と果敢に闘う

アジアの仲間と運動を共有

トヨタ労働者 青山 元


 フィリピン・トヨタの労働者は、会社の悪らつな妨害にもめげず九年間闘い抜いて、労働組合結成をかち取った。私たちトヨタ、トヨタ関連の労働者も、彼らに熱烈なエールを送り続け、その果敢な闘いを支援し、その勝利を祝った。
 しかし、この三月、フィリピン・トヨタは労働雇用省で行われた団体交渉協約協議に関する聴聞会に参加したことを理由に、組合役員を含む三百人の労働者の解雇を一方的に通告し、組合つぶし攻撃を仕掛けてきた。解雇された組合員は工場でピケをはり、復職を訴え、また作業を続けた。
 会社はこれに対し、賃金の不払いと貸付金の返還要求でこたえ、ストライキで対抗する組合員には、ヘリコプターも動員して警官隊とガードマンを突入させ、ピケ隊を排除してスト破りを工場に送り込み、生産を再開しようともくろんでいる。
 組合は団体交渉協約協議開始までピケを解かず、断固として闘う決意を固めている。
 また、トヨタの大手下請けであるアラコのインドネシア現地会社カデラ社では、賃上げ、労働者の不当解雇の撤回などを求めてストライキを闘った。工場に宿泊していた労働者たちにナイフや刀、手製爆弾で武装した約五百人の集団が襲いかかり、二人の労働者が殺され、数十人がケガを負うという事件があった。 インドネシアでは資本家と治安部隊、暴力団が結託した労働組合つぶしが、日常的に行われているといわれている。労働組合は会社が要求に応じるまでストを継続することを宣言し、全国組織と共闘して日本大使館前での抗議デモを行い、また真相究明を求めて国会前でデモを行っている。
 トヨタは「国際社会から信頼される企業市民」と称し、「雇用の確保は経営者の責務」とのたまう奥田会長は経営者の鏡のようにもてはやされている。しかし、その実態は世界中で金もうけに奔走(ほんそう)し、逆らう労働者は容赦なく殺す凶暴な資本家そのものである。
 韓国の大宇自動車でも、こうした肥大化した多国籍企業の策動が混乱の要因であるし、アジアの労働者はそうしたやつらに翻弄(ほんろう)されたきた。
 闘うアジアの労働者から国際連帯を求めて、われわれに強い共同行動と支援の要請とが来ている。四月二十三日には、来日したフィリピン工場の仲間たちがトヨタ本社への抗議行動を行った。
 日本も今や、多国籍化した資本家どもが蹂躙(じゅうりん)する社会である。今後フィリピンやインドネシアのような状況になる可能性も高く、真に彼らとの運動の共有ができる時代に突入したのではないか。