20010415

ライン9時間でクタクタ

仕事をラクにしてくれ

日産労働者 本田 光司


 仕事がきつい。クタクタだ。
 毎日、毎日一時間の残業が続いている。九時間のライン作業は、頭がボーっとなる。さらに土曜日も休日出勤だ。
 土曜日に休めたのは今年になって一回だけだ。どんどんきつくなっている。
 派遣会社のN社から来る連中は、耐えられずに途中で辞めていく。会社に忠誠心があるわけでもなく、少しでもラクな仕事でやりたいからだ。途中でラインを止めることも多い。こっちは助かるが。
 でも隣のH社の工場から出向で来ている人たちは、辞めるわけにもいかず必死で働いている。さすがだなあと感心もするが、労働者の運命は哀れだなあとも思う。でも、その人たちはいつかは元の職場に帰れるが、おれたちはずっとこの仕事だ。
 職場のやつがガンで死んだ。まだ五十歳にもならないで、あっという間だった。交替勤務の不規則な生活が体にいいわけないし、俺たちは病院でゆっくり検査を受けるゆとりもないのが現実だ。もう一人ガンで、助からないようだ。会社はお情けで班長に昇格させたが、ありがたくもない話だ。
 今年の賃上げでは、「満額回答」とやらで、しかも回答指定日前に回答した。そのやり方もふくめて、組合の鼻をあかしたとマスコミなどでもてはやされていたが、そんなことはどうでもいい。もともと要求が低いのだから。とにかくもう少し仕事をラクにしてくれと言いたい。
 ゴーンというのは「再建屋」というのだそうだが、情け容赦なく工場をつぶして労働者を放り出し、残った労働者はこき使い、下請けにはギリギリまで単価を切り下げさせているだけじゃないか。
 最近、銀行とか他の企業も合併ばかりで、名前がどんどん変わっていく。覚えられない。さくら銀行と住友銀行が合併して三井住友銀行になった。あれ、何年か前、太陽神戸と三井が合併してさくら銀行になって、こんどは三井銀行の名前が復活したが、太陽神戸はどこへいったんだろう。おれも日産で働いていたつもりだが、いつの間にかルノーの社長の下で働いている。そのうち会社の名前も変わるのかなあ。