20010405

2001年春闘本番 定年延長したが基本給20%減
 賃上げ要求は1万2000円だ

賃金カット撤回かちとるぞ

繊維工場労働者 竹本 周介


 私は繊維関係の工場で働いています。会社は数年前から生産拠点を中国に移し、中国で大量につくった製品を直接米国に輸出しています。
 そのために国内の生産は縮小され、つぎつぎと製造ラインが止まっていきました。首切りはまだ出ていませんが、定年退職して人が減っても補充されません。現場の労働者は最盛期の十分の一ぐらいに激減しています。若い人が入りませんから、平均年齢も高くなっています。五年前から三直(交代)から二直生産に変わりました。そして、一年のうち六カ月間、交代で五人が他工場の応援に出向させられています。
 その半面、営業や開発部門では人が増えています。日本で開発した製品を中国で大量生産するので、開発部門は強化されているのです。国内工場では、技術的に特殊で生産量の少ないものだけをつくっています。こういうものは中国ではつくれないし、利益率が高いからです。ですから国内の工場が完全になくなることはないと思います。
 工場では新しい機械が導入された上に人が減っていくので、仕事はきつくなる一方です。外注化も進み、箱づめ作業などこん包部門まで、内職に出すようになりました。そうしたリストラの結果、会社は業績を改善し、赤字決算から抜け出しています。
 こうした中で、今年も春闘の時期を迎えました。きょうは組合の臨時大会でした。今年の賃上げ要求は一万二千円です。要求額はよそに比べても高いほうですが、格差是正のために高い要求をかかげています。
 もうすぐ団体交渉ですが、一回目の団体交渉が終わった後、組合の腕章をつけたり、組合の赤旗を掲げて交渉を続けます。
 昨年の春闘では、他工場への応援手当を二千五百円要求しましたが、会社側の回答は一日三百円でした。組合は時間外拒否闘争に入りましたが、結果的には一日三百円の回答で妥協しました。八月の夏冬一時金闘争では、四・七カ月で妥結しました。
 今年の春闘要求では、五十五歳からの賃金カットの撤回をかかげています。定年を六十歳に延長することと引き換えに、五十五歳から基本給の二〇%カットを受け入れたのですが、仕事がきつく「これでは六十歳まで体がもたない」という声が相ついでいるからです。あわせて退職金の改定も迫っていくことになりました。
 米国の景気もバブル崩壊がいわれるようになってきています。米国輸出が主力だけに、先行きが心配なきょうこのごろですが、仲間といっしょに今年の春闘をがんばりたいと思っています。