20010225

日教組教研大会に参加して
 反戦平和の視点貫こう

4000人の熱気に感動

教育労働者 平島 高則


 第五十次日教組全国教研東京大会に、職場や支部の組合員に支えられて参加することができた。三年ぶりの大雪に、全体会場である有明アリーナへの交通機関は混乱し、会場内は底冷えしていた。しかし、全国から四千人余の組合員が、さまざまな困難を乗り越えて参加しているのを見て、やはり頼もしく感動した。
 石原都知事の片腕と称される東京都横山教育長の来賓あいさつに、都教組をはじめ多くの組合員から抗議の声が上げられた。この声は平和教育つぶしや人事考課制度により厳しい弾圧が加えられている現場組合員の素朴な気持ちであったと思う。それに反して、友好団体として朝鮮総聯の参加がなかったのが奇異だった。
 午後は国民連合の全国世話人でもある武者小路公秀さんのコーディネートによるシンポジウムが開催された。それぞれの提起はおもしろかったが、いまの生徒の現実を具体的に理解したり、揺れ動くアジアに視点を定めて今の政治、文化状況とつなげて十分展開されなかったのが残念であった。しかし今年は、平和の問題が教研全体にとってきわめて関心が高まっている状況がうかがい知れた。
 分科会は平和教育分科会に三日間出席した。
 論議の中心は、今の政治状況をどうみるかという点、また平和教育を「人権」「環境」「総合教育」の問題に解消したりできるのかという点であったと思う。今後教研では平和教育分科会がなくなるのではないかという動きもなくはなく、平和教育を反戦平和の視点で貫いて堅持していくことがいまこそ重要であるという点で、全体の論議はまとめられると思う。
 現在、「人権」の名において空爆がされたり、理不尽な「経済制裁」など大国のダブルスタンダード(身勝手)が横行し、各地で戦争の火種がまかれつつある。こういった中で、子供たちにいかに平和の問題を自分たちのものにさせていくかが、教育現場で問われている。これまでの平和教育をさらに前進させるのか、あるいは「もう一つの平和教育」の美名のもとに後退させるのかの岐路に立たされている。「日の丸」「君が代」の強制、自由主義史観による新たな教科書攻撃も出ている中で、鋭い政治性が日教組運動に迫られている。
 分科会後の夜、こういった危機感をもった組合員有志でとりくまれた二つの自主的集会に参加した。いずれも、現在の日教組運動の形骸化、保守化に対する組合員大衆の切実な思いと危機感が結集したものであり、日教組運動の闘う伝統が失われていないことをあらためて実感した。
 特に地方の片隅でほそぼそ動いていて、常日頃一人で孤立しているように感じることもあったが、そうではないことが分かった。いろんな場所でもっと自信をもって訴えるべきことは訴え行動していかなくてはいけないと確信した。
 分科会場近くは、年末から急激にホームレスが増加しているとのこと、また外国人労働者も多く目につく。時代は底流では確実に動き始めている。そういった労働者や庶民の暮らしにしっかり根を下ろして教育は考えていかねばならないと、強く決意したものである。