20010225

原潜衝突事件、NLP、沖縄‥‥
 いつまで続く? 日米安保

米軍の横暴に怒り心頭

神奈川・民間労働者 飯沼はつみ


 今日も厚木基地を飛び立つジェット機が、爆音をまき散らしながらわが物顔にふるまっています。NLP(夜間離着陸訓練)がいつ始まったのか、何でこんなにうるさいのか。軍隊とは民間人の迷惑など眼中にないものだと頭で分かっていても、毎日のようにその騒音と背中合わせの生活を余儀なくされている基地周辺の住民にとってはたまったものではありません。
 ハワイ沖での米原子力潜水艦と「えひめ丸」の衝突事件を聞いたとき、何でこんな事が起きたのか、犠牲者とその家族はどんなにか悔しい思いをしているだろうと、人ごととは思えませんでした。
 宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」は三浦市・三崎港が実質上母港となっていて、乗組員もいます。家族は「衝突原因のことはよく分かりませんが、悔しい。何でこんな目に遭わなければいけないのでしょうか」と怒りをぶつけています。

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 衝突事件の真相は、時間がたつにしたがって解明されてきました。新聞報道によれば、原潜の緊急浮上は、乗せていた民間人を喜ばせるために「デモンストレーション」でした。こんな事で犠牲となった、前途ある青年たちと乗組員の家族はどんなに悔しい思いの中にあるだろうか。
 許せないのは、わが国政府の対応です。原潜が事故を起こしたのち、遭難者を監視していて救助活動をしないまま現場から立ち去ったのに、外務省の幹部は事件後「原潜は事故後、現場にとどまり救助・捜索活動を行った」とデマ情報を流して米国政府を擁護していることです。やれ国際貢献だ、人命救助だと騒ぎ立て自衛隊の海外派兵に熱心な人びとが、多くの犠牲者が出た事件に対して、捜索を米国にまかせっきりで何も言わずにいます。
 森首相のように事件後もノー天気でゴルフをしていたのは論外ですが、野党も危機管理ばかりを問題にしています。遭難者の救助を急がなければなりませんが、まず第一に目に余る米軍の横暴が糾弾されなければならないと思います。
 米軍の身勝手な行動で人命までが奪われ、わが国を縛りつける日米安保を問題にしないのはどういうことなのでしょうか。国民の怒りとかけ離れたお粗末な野党ですから、「事故の一報を知らされた後も森首相がゴルフを続けたのは、米国にとって幸運だった」(ロスアンゼルス・タイムズ)と日本がコケにされてしまうのです。
 事件後、在日米海軍厚木基地司令官は十七日から行うNLP訓練について、「日本国民の反米感情が高まっているので、訓練も配慮」といっていますが、九人の命と引き替えの「配慮」では何ともやり切れません。しかも、配慮といっても土日も含めて行われるNLPの爆音は何一つ変わっていません。
 基地騒音に対して「米軍との交流中断」を表明した大和市をはじめNLP実施四基地関係市長意見交換会が、一月に開催されました。国が取り組むべき外交・安全保障問題を自治体レベルで解決しようとする関係者の努力で、運動の高まりを感じます。
 しかし、なんといっても重要なのは国民的な大衆行動を起こすことだと思います。衝突事件後、横須賀では市民団体の抗議行動が報じられました。沖縄県知事を「ばかで弱虫」と電子メールで中傷したり、米海海兵隊の放火事件など安保条約によって引き起こされる事件が後を絶ちません。職場でも普段の会話の中にも原潜事故のことが飛び込んできます。みんな事故のことで頭にきています。