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20010131
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」理不尽な社会を告発 |
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| 見終わったあと、感動とともに割り切れなさが残った。社会の底辺に生きるひとりの女性の、あまりにも悲しくて理不尽な現実を表現した作品だからだ。 あらすじを紹介しよう。主人公のセルマは先天性の目の病気をもっている。同じ病気をもつ息子を治療するため、チェコから米国に渡ってきた。彼女は寝る時間を惜しんで働いていたが、失明してしまい、工場を解雇される。 そんなとき、息子の手術代としてためた2000ドルを、家主である警官に盗まれてしまうのだ。警官ともみ合いになったセルマは、彼を殺してしまう。セルマは「警官の金を盗んだ」というぬれぎぬまで着せられて逮捕される。裁判の結果は絞首刑だった……。 * * * 貧しく質素に暮らす労働者の不安定な生活と、母としての強さが描かれる。プレス工場での過酷な労働が終われば内職仕事。工場の仲間の温かい思いやりが救いだ。 しかし、彼女の心は豊かだった。彼女の唯一の楽しみはミュージカル。苦しいとき、悲しいときに彼女の想像力は広がり、場面は明るい歌と踊りの世界に変わる。とりわけ工場でのミュージカルシーンは楽しい。単調な機械の騒音がリズムに変わり、労働者はにぎやかに踊りだす。 そして、衝撃のラストを迎える。監獄で死の恐怖におびえるセルマの心が細かく描かれ、死刑の非人間性が告発される。 セルマを演じるのはロック・シンガーのビョークだが、彼女の演技がとても自然体だ。油まみれの工場のおばさんをカトリーヌ・ドヌーブが堂々と演じているのも印象に残る。 この作品は、最初の3分間、画像のない暗闇に音楽だけが流れる。手持ちカメラによる、くどいくらいの顔の接写。デジタルカメラで撮影されたミュージカルシーンなど、表現方法がざん新だ。 「貧困・犯罪・死刑」という社会的テーマを真正面から取り上げたという点で、異色なミュージカル映画といえよう。(U) 全国上映中 |
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