20001215


20世紀末に思う――

大変化予感させる東アジア

福岡 堀江 輝信


 年の瀬もしだいに押しつまり、何もかも「今世紀最後の○○」と銘うっている。年が明ければ「今世紀初の××」ということになるのだろうが、ともかく新ミレニアムで『世紀末』である。
 ひとくちに千年間、百年間といっても、百年前の歴史をひもといてみれば、アジアでは、中国の清朝末期で、列強による中国分割が激化している頃。義和団事件に対して日本を含む八カ国が軍隊を派遣して北京を占領、二十世紀のアジアの幕開けは、帝国主義による支配と民族の独立、解放を求める闘いの始まりでもあった。
 日本は、日清戦争(一八九四年〜)で台湾を植民地化し、日露戦争(一九〇四年〜)をへて朝鮮を併合し(一九一〇年〜)、第二次世界大戦で敗北するまで植民地支配を続けた。
 そして二十世紀から二十一世紀への橋渡しとなる今年、朝鮮半島は半世紀にわたる分断と対立の歴史から民族の和解と自主的な統一へむけて大きく動き出した。香港やマカオの返還で、中国に残されているのは台湾問題だけとなった。大きな変化が予感される東アジアの二十一世紀の幕開けである。
 こうしたなかで、日本だけが隣人である北朝鮮との国交正常化の展望も示せず、米国の戦略に組み込まれている惨めな姿が浮き彫りになる。ついに今世紀中の日朝国交正常化は実現できないままとなった。
 先日、日朝関係の集会に初めて出かけた。講師の人も、また来賓や参加者からの発言でも「自分がしてきたことを率直に謝罪することが一番大事なことだ。そうすれば必ず正常化の道が開ける」と言っていた。まったくその通りで、これは幼い子供にも、私たちがいつも言い聞かせていることではないかと思う。
 「悪いことをしたらごめんなさいと謝る」というのは当たり前のこと。その当たり前のこともできないで、あれこれと言い逃れをする(何十年間も)姿勢では、新しい時代に日本はアジアの一員としてやっていくのはとても難しかろうと思う。
 いま、日本から韓国への旅行者は年間二百万人以上いるという。福岡からJRの高速船で行けば、東京に行く感覚より、もっと手軽で安価に行ける。「ちょっと釜山(プサン)に焼肉を食べに行こうか、ショッピングに行こうか」という感覚である。
 韓国からは、たくさんの担ぎ屋のおばさんたちが、毎日韓国の食材などを運んでくる。南北間の鉄道が運行再開へむけて動き出している。そうなれば南北間の往来も活発になってくる。韓国からロンドンまで陸続きで鉄道がつながる。日本はどうするのか?
 新しい世紀に、新しい人たちがアジアの新しい時代を開いてくれることを信じて、新しい時代を迎えよう。


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