20001215


地区労への補助金カット
やりようで幅広い運動も

反論で交渉の流れが一変

民間労組役員 望月 康二


 自治体財政の悪化を口実に、補助金などの見直しが全国的にも行われているが、私の住む地域でも例外ではない。
 先日、地区労センターの単組代表者会議が開催された。議題は地区労センターへの補助金(助成金という名目で年間約七十万円くらい出ている。ちなみに市長交際費は年間五百万円くらいあるといわれている)の一割カット問題であった。
 会議ではほとんど意見は出なかったが、その後、市の担当課長との交渉が行われた。冒頭、担当課長より一連の経過と理由の説明があり、今回は各団体へ例外なく補助金の一割カットを要請していることが報告された。
 交渉が始まった直後は、各単組代表者も受け入れざるを得ないのかなあといった雰囲気だった。ところが、一人の組合員が反論すると次々と反対の意見が出され、雰囲気は一変した。
 主な意見は、「市の税収の大部分は労働者が支払ったもので、補助金は他の団体と比べても決して多くはなく現在でも少ないくらいだ。カットは当然認められない」というものだった。
 ある組合員は「市は数年前から財政の見直しをしているというが、社会資本の整備を理由に、流域下水道問題など多くの反対意見や慎重意見があったにもかかわらず、議会でかなり強引に進めたと聞いている。大型プロジェクトには金を出し、そのしわ寄せをするな!」と強く反発。
 また、ある組合員は「不況で企業のリストラによる労働者の首切りが進んでいる。そうなればもっと自治体の税収など財政に響くはずだ。われわれ労働組合はそうした首切りなどに反対して運動もしている。あんたたちから、もっとがんばってほしいといわれてもよい。もっと補助金を増やしてもいいではないか」という反対意見を述べた。
 担当課長は何とか理解をしてほしいと頭を下げるばかりで、結論が出ないまま第一回交渉が終わった。交渉後、組合員からは「次回はもっと偉い人にきてもらったらどうか」との意見や、「市が出している補助金の一覧を全部出させたらどうか」などの意見も出ていた。
 あとで聞いたのだが、この時期市当局は来年度の予算編成へ向け、各団体へ一割カット問題で折衝しているとのことであった。おそらくどの団体も市当局のこうした要請に対して快く受け入れる団体は少なく、受け入れる団体もしぶしぶ納得させられているのが現状だろうと思う。
 今回の交渉でもそうだが、誰かが言い出せば雰囲気は一変する。この時期、地区労が先頭にたって補助金カット反対の宣伝をすれば、各団体もまきこんだ幅広い運動になるのでは、と思う。


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