20001205


岡村昭彦氏の写真を展示
大学祭でベトナム戦争展

戦争の悲惨さ伝えたい

大学生 山野 哲二


 今回、なぜ大学祭で「戦争」の展示を行うにいたったかというと、学生一人ひとりに戦争の悲惨さを訴え、少しでも今日、明日の日本そして世界を考えてもらいたい。お互いに話し合える場がつくれたら、平和につながる一歩として貢献できるのではないかという理由から、このような取り組みを企画しました。
 また戦争の中から取り上げることとなったベトナム戦争は、ベトナム民衆と大国・米国との間で起きた戦争で(1)犠牲が大きかった、(2)米国とベトナム民衆の間にイデオロギーの違いある、という特徴があげられます。
 この戦争は、米国がイデオロギーの違いを認めず、関係改善する努力を拒否したため起きたと考えました。戦争を防ぐには「対話」が必要になってくることを明確に教えてくれます。ゆえに「ベトナム戦争」を過去、現在におけるたくさんの戦争、紛争の中から選びました。
十一月末に開催された大学祭は二日間という短い期間でしたが、その二日間に向けて、自分たちにできる限りの準備を積み重ね、どうしたら来てくれた人びとに興味をもって帰ってもらえるのか、逆にどうしたら自分たちがもっとも前進できるのかなど、いろいろな視点で話し合いました。
 そんなこんなしている時に、僕とJASIC(日本アジア学生交流センター)の方たちを通し、フォトジャーナリストである岡村昭彦さんのご遺族、佐藤純子さんが、岡村昭彦さんが現地で撮られたベトナム戦争の生写真を使わさせてくれるということになり、大変驚き、勢いづかせてくれました。
  当日来てくれた人は「子供がものすごく興味をもって、一つずつ質問してきましてた。ありがとうございました」「今まで自分が知らなかった写真が数多くありました。同じ人間としてこの現実を受け止め、二度とこのような現実を起こさないために一人ひとりの対話を大切にし、生命の尊厳を訴えていかなければならないでしょう」など、さまざまな意見を残してくれました。
 この展示は決して無意味ではなく、成功だったことを確認でき、うれしくて涙が出そうでした。
 展示内容に僕が今年の夏に行ってきた、JASICのベトナムツァーの体験談も入れました。ぜひ、行ってみたいとの反応もあったようです。新聞社、TV局の方々も来て下さいました。最近の大学祭では出店、バンド演奏が目立つようになり、こういった展示は珍しくなったそうです。なんだか、さびしい気がしました。
 一つ残念だったのは、来てくれた人たちのなかで僕たちと同じ世代の学生の割合が非常に少なかったことです。これから社会に出て活躍していくにあたって、過去における戦争の悲惨さをいちばん周知していてほしい、興味をもってほしい人たちがまるで無関心。悲しいことです。こうして一瞬に過ぎた二日間。いろんな人の気持ちに触れ、磨かれた自分の気持ち。この大学祭は僕にとって大成功でした!


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