20001125


マイカーにも増税?!

県民の反発で先延ばしに

神奈川・杉山 源太郎


 この一カ月あまり、県政を揺さぶった自動車税の増税問題は終息を迎えそうです。県議会与党の自民党が「増税は時期尚早」と態度表明したので、岡崎県知事の提案も十二月議会では見送りとなりそうです。
 わが家のカローラは、知り合いの店で買った中古車で、走行距離は十万キロに近づいています。酷使したとも言えますが、それだけ役立っていたわけです。
 上の子が「カップラーメン」の熱湯をひっくり返して足にやけどを負ったときは、救急車代わりにカローラで病院へ運び、大事にいたらずに済みました。
 今年の夏は、トランクにバーベキューの道具を積み、丹沢湖へ出かけました。キャンピングカーにはおよびませんが、家族で楽しんできました。以前と比べてだいぶ機会が少なくなりましたが、職場での「飲み会」で遅くなったときは駅まで迎えにきてもらい「タクシー」として役だっているカローラです。増税となれば、一万円弱の新たな負担増をどうやりくりするか相談していたところです。
 事のてん末は、九月議会に県の財政が厳しくなったので、「自動車税を二〇%アップ」が提案されたからです。交通事故が激増しているので、この対策や環境対策を強めると説明しました。与党の自民党や公明党からも議論が噴出しました。どういう訳か、民主党系「かながわ清風会」は「増税に理解を示す」でしたが、世論に押されたのか民主党県連は「慎重に」と軌道修正しました。自動車団体が署名を集めて県に陳情したりしました。社民党県議団はいち早く反対を表明しました。
 ここで県当局は「手直し」を余儀なくされました。しかし、これが県民の怒りを増幅させてしまったのです。それは自動車税の増税を二〇%、一五%、一〇%の三本立てにし県民の理解を求めるとしながら、バス、トラック、タクシーを除外してしまったのです。政治力のある団体を外し、零細な商工業者と県民に負担を押しつけようという意図が見え隠れしたのです。
 県内各地で行われた「説明会」では意見が続出しました。「県財政の行き詰まりの責任をどうするのか」「なぜ自動車税の増税なのか」「バス、トラックなどを除外して環境対策に効果が出るのか」「公共事業を見直す必要がある」などと県民の怒りが、県当局に向けられました。
 舞台裏はわかりませんが、ともかくこの一カ月あまりわが家を揺さぶった自動車税増税問題は、事なきに至りそうです。
 しかし、こうした議論と共に「公務員攻撃」が強まることが気になります。公務員だけではありませんが、年金改悪で六十五歳まで定年延長を余儀なくさせられています。そんな時、昇給停止だ、ボーナスカットだ、ではどうなるのでしょうか。天下りで「甘い汁」を吸っているのはひと握りで、大多数の人々は同じ働く仲間だと思います。


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