20001025


ホテル戦争で労働者に犠牲

昨年から一時金も半分

大阪・ホテル労働者 河上 裕一


 私は、大阪のある老舗(しにせ)ホテルで働く労働者です。
 私たちをとりまく状況は、激変のただ中にあります。ここ大阪では、二〇〇二年のサッカーのワールドカップ開催が決まり、二〇〇八年大阪オリンピック誘致の運動が進められる中で、ホテル戦争も過去に経験したことのないほど激烈に繰り広げられています。
 バブル期以降、ニューオータニ、帝国ホテルなど東京の老舗ホテルの進出が始まり、そのあと、外資系のリッツ・カールトン、ウェスティンなど有名ホテルがいくつも進出してきました。
 バブル崩壊以降は地域の全体のパイに対して、大幅な過剰状況にあり、大阪では老舗中の老舗といわれたホテルプラザ、コクサイホテルが相ついで、倒産・閉鎖に追い込まれした。両ホテルは現在、廃虚と化し、夜になるとその異様な姿が浮かび上がります。 もちろん、わがホテルも例外ではありません。バブル期には、株主である大手都銀の勧めもあり、関東から九州まで全国展開を進めました。そのツケが三年ほど前から、一気に私たち労働者に降りかかってきています。
 わがホテル本体は土地、建物ともすでに売却され、賃貸の形で営業を続けています。最近は外資への全面的な売却話も進んでいるようです。
 とりわけ、宿泊、宴会部門が不振で前年割れがずっと続いているという状態です。昨年、社は大規模な合理化・リストラ計画を発表。早期退職制度の実施など正社員を大幅に減らし、契約社員、アルバイトが増えました。その結果、ホテルマンとしての質も全体として下がり、支配人に対する苦情が急増しています。リストラによって、ホテルの評判が悪くなり、競争に負けていくという悪循環の中にあります。
 リストラ計画の推進で、私たちの労働条件も悪化の一途。昨年から一時金も半分に削られ、わずか一・三カ月という有様です。同僚たちも腹の中で不満がくすぶりつづけています。組合は残念ながら、労資協調の御用組合なので、このリストラ計画を組合としていかに進めていくかに必死になっています。
 大阪府はそんな中で今、法人府民税の一律倍額値上げを狙っています。それが実施されれば、さらに私たち労働者に犠牲が押し付けられるのは目に見えています。
 先日もテレビで閉鎖になった木更津そごうの元社員の就職活動がドキュメントで放映されていました。やり手の営業マンだった彼は当初は再就職に自信があったようですが、その壁の厚さにくじけそうになっているようすが映し出されていました。関西圏の心斎橋、奈良、加古川そごうなどはうちのお菓子部門が取引をしています。そごうの行方は私たちにも影響が及んでいます。ダイエーも大変と聞きます。
 世間では「勝ち組み、負け組み」と色分けがされ、勝ち組みが賞賛されていますが、どちらであれ、その下で労働者がどんなひどい目にあっているかはなかなか表面に出てきません。
 貴紙でも、もっともっと厳しい労働者の実態を取り上げてほしいと思います。 


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