20001015


年々増える執行部批判
職場委員のなり手がない

労組は会社の代弁ばかり

流通労働者 熊谷 勝久


 やっと秋めいた季節になってきましたが、昼間はまだ夏を思わせる暑さが残る毎日です。労働組合の大会シーズンですが、私の職場でも最近定期大会に向けた職場委員の役選がありました。従来、任期が一年間なので、順繰りで決まるのが通例ですが、今回はちょっとした波乱がありました。誰も役員になる人がいないという事態です。
 会社ではこの一年間、分社化など、リストラがいろいろな方面で進み、職場の仲間にはいろんな不満がうっ積しています。会社の機構改革と称するもので、現場からみるとずいぶんと七面倒くさい管理になり、人も減ったので、何かと気ぜわしい毎日になっています。
 不況なので大幅な賃上げなどは見込めないまでも、そこそこの賃上げは、と願った春闘も、同業種他社と比べても低い額でした。ボーナスも当然低い妥結金額に終わりました。労働組合はいわゆる御用組合です。交渉のようすを、そのつど長い文書のチラシで配布しますが、組合の見解はいろいろ言い訳がましいことを述べるだけです。経営の苦しさを説明し、暗黙に「ガマンしろ」という、会社側の代弁としか思えない内容に終始しています。
 昨年の大会前の役選では、こういう労働組合の姿勢に対する批判として、対立候補へ過去にない得票が集まり、組合員の不満の高まりを示しました。
 今年の大会が近づいたのに、次期の職場委員の掲示がないなあと思って、「来年は誰になったの」と委員に聞いたら、「まだ決まらないんですよ。誰も引き受けてくれない」と困っていました。「それなら上部と相談して職場討議を開いて決めるしかないだろう」と言うと、「開いても決まりそうにないんですよ」と、ずいぶん弱気になっていました。
 定期大会は終わりましたが、結局、私の所属する部署では職場委員のなり手がないまま、組合執行部の一人が兼任する事態になっています。
 他の所ではどういう議論があったかは分かりませんが、私の同僚などは、「今の組合ならやったってどうにもならない。上部の意見を伝えるだけで、みんなからは嫌な顔をされるし、むしろ上部の役員がこちらに出向いてやればいいんだ」と話していました。
 今年の大会役員選挙でも、対立候補は去年以上の得票を得ました。不満や怒りが年々強まっているので、この不満が労働組合の変化につながればと思っています。 


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