20001015


働き始めて半年

厳しいけど充実した毎日

看護婦 山内 雪香


 今年春、私は念願の看護婦になりました。毎日「現場は厳しいな」って思います。
 今いる病院が救急病院ということもあって入退院が激しいのもありますが、患者さんとゆっくりできる時間がなくて、いつも忙しく走り回っている自分に気づきます。
 患者さんはそんな私を見て「大変やね、がんばって」とか、励ましてくれたりもするけど、「忙しそうやし、言えへんかった」とか言われると、悪いなあと反省してしまいます。
 注射もへたくそで、私が病室にはいると「今日はあんたかあ」という複雑な患者さんの表情を見ます。けど、いろんな人がいて、いろんな家族がいて楽しいこともあり、つらいこともあり、悲しいこともあり…といった感じで毎日がんばっています。
 今でも忘れられない患者さんは、この前亡くなられた人です。私が働き始めたときはもう肺ガンの末期で余命二週間と言われていたのですが、結局二カ月近く生きられました。その人は、自分の腕を差し出して「ブツッといったらいい」と点滴させてくれたり、「うまなった」と言ってくれたりしました。吸引するときも「あんたは遠慮しすぎや、もっと強引に吸ってくれていい」とか言って、私にいっぱい教えてくれました。
 死ぬ一日前には「かんにんな」と何回も言われ、涙がウルウルしました。亡くなった日も私が受け持ち中だったから、もう酸素があまり脳にいってないとき、その人の耳もとで「ありがとう」と言いました。
 そうしたら二時間後に亡くなられてしまい、涙が止まりませんでした。でも、やらなければならない死後の処置とかもあり、自分の感情を抑えるのに必死でした。
 骨折とかで元気に退院される人は心配ないんですが。人の命を預かる仕事の責任の重さに、耐えきれなくなることもあります。こんな毎日ですが、とても充実しています。 


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