20001005


アジアに生きる若者たち

大当たり! 台湾でホームページ作成(10)

海援隊(海外展開企業等を支援するネットワーク組織隊)
代表幹事 牟田口 雄彦


 海援隊では、恒例の海外ツアーを開催。今回は八月二十〜二十三日の日程で、台湾で開催された「IT革命と北東アジア経済協力」と題した東アジア国際シンポジウムを後援して、ツアー団員二十名が参加した。台湾綜合研究院名誉理事長李登輝氏も出席し、IT革命を踏まえた上での「北東アジア自由貿易地域構想」が提起され、拍手喝采(かっさい)のうちに閉幕した。
 この拍手喝采を現実のビジネスで実現しているのが、今回出会った北東アジアを股(また)にかける四カ国語(中・日・韓・英)対応のホームページ作成を手がける台湾北輪有限公司(http://www.creativegiga.net)の大亀浩介氏(二十七歳) であった。
 閉鎖的な日本市場開拓をめざす台湾企業や、現地で日本人はじめ外国人相手の商売(水商売も多いという)が、このホームページに飛びついた。
 競って派手な台湾の看板さながらに、プレゼンテーションをホームページ上で行い、「優れた良好な商品、安い値段」をうたっている。見知らぬ土地での外国のビジネスマンに母国語での安心感を与えている。そして、肝心の製作コストは、日本の三分の一という安さ。
 さらに、この会社の好評なサービスが「電子商情」である。これは、最新の台湾の電子機器や情報通信関連情報を提供してくれる。現在、台湾には、大挙して日本のメーカーの調達部隊が派遣されている。このサイトは、そういったニーズに対応している。
 日本のホームページは一般化しつつあるが、デザイン面で凝り過ぎたり、明確な顧客への訴えかけが少ないが、大亀さんのホームページ作成の方針は明確だ。
 台湾の特異性を生かして、最初から四カ国語対応で実用性の高いホームページづくりだ。そして、将来は、アジアの情報拠点となる会社となる。そのために、台湾は、ITの本来持つ国際性と競争性をいかんなく発揮できる土地柄であると踏んでいる。
 この地で働く大亀氏も当然国際派、国境はまったく意識にない。彼は、米国の大学院で台湾人のフィアンセに出会い、いっしょに台湾に飛んできた。彼女の父親に結婚の許可を求めるが、父親は日本人に好感を持たない外省人(第二次大戦後、台湾に移り住んだ大陸出身の中国人、一方、従来から台湾に住む人びとは内省人という)で、当初は絶対反対だった。
 それが柔らかくなってきたのは、彼が台湾で必死に中国語を学び、台湾で見事に仕事をつくりだしてきたからにほかならない。彼の実力を父親に認めさせたのである。
 彼の頭には、彼女の父親が結婚を許してくれた時の言葉が、いつもあるという。それは、台湾の人びとの口癖でもある「決して大企業の部長をめざすな。小さくてもよいから社長になれ」という言葉だ。
 台湾は、人口二千二百 万人、企業総数は、膨大な数にのぼる。人びとは企業家精神が旺盛(おうせい)である。創造的中小企業が大活躍する台湾での、日本人青年の挑戦は続く。 


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