20000915


盛大にハナフェスティバル

大きく変わるアジアを実感

神奈川・長沼 寿夫


 あの歴史的な朝鮮南北首脳会談から二カ月余りを経た八月二十六日、川崎では朝鮮民主主義人民共和国と韓国の在日組織が協力してイベントが開催された。
 会場の桜本小学校校庭に入ると、正面の大きなステージに「共同宣言支持歓迎 一つの心 ハナフェスティバル」と大書きされた看板が目に入る。会場のあちこちで黄色いユニフォームの役員たちが動き回り、入口で花を配り、テントの模擬店では食べ物や飲み物のサービスが忙しい。グラウンドにはたくさんのテーブルといすが並べられ、思い思いに座っては談笑がにぎやかだ。会場に足を踏み入れた瞬間に、これは気持ちよい集まりだと感じた。
 高橋・川崎市長がお祝いのあいさつをし、共同主催した在日朝鮮人商工会と川崎韓国商工会議所の両会長が共同で川崎宣言を発表する。議員も超党派で参加し、このイベントを祝福した。あちこちのテーブルでは握手の光景が見られ、ステージは歌や舞踊、チャンゴ(打楽器)にロックとにぎやかだ。千人を超える参加者たちのうれしそうな顔が行き交い、ようやく日が暮れるころには、すっかりこの雰囲気に酔いしれてしまった。確かにビールもうまくやや度を超したが、そればかりではなさそうだ。
 フェスティバルが喜びを爆発させるほどに、自分もわくわくしながら、一方で日本人としての責任の重さもイヤというほど感じさせられた。朝鮮半島の人びとは外圧と自らの冷えきった関係を克服して、新しい時代を切り開こうとしている。今こうして目の前にあるあのアジア侵略の歴史の証を、いまだに日本の政治は真正面から認めようとしない。
 そればかりか支配層の一角には、太鼓持ちのようなイデオローグたちをまつりあげて「歴史認識」を書き換えさせようとやっきになっている連中すらいる。そのひとりよがりな振る舞いに、腹立たしさが込み上げてくる。もうアジアは、こうやって大きく変わろうとしているのに! すでに、この国はアジアの孤児になっているのではないか、そんな思いが頭をよぎった。 


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