20000905


公害の上に、また公害
広がる不安、市民運動進む

RDF発電所に異議あり

福岡県大牟田市 国崎 真一


 「今、ゴミ問題・RDF(ゴミ固形化燃料)発電を考える講演会」が八月二十日、福岡県大牟田市で開催されました。この講演会はおおむた市民オンブズマン、グリーンコープ生協ちくご、どうする大牟田・町づくりを考えるつどいなどの五つの市民団体が実行委員会をつくり主催したもので、約八百人の市民が参加しました。
 大牟田市では、九七年の三池炭鉱閉山以降、市が「石炭産業に代わるものとして環境リサイクル産業を育成する。その中心的施設としてRDF発電所を建設する」という施策を進めてきました。
 県内外の二十八自治体でつくられるゴミ固形化燃料を集めて、第三セクターが運営する発電所の燃料とするという計画です。
 しかし、結局はゴミであるRDFを燃焼させることによってダイオキシンをはじめとする有害化学物質の問題、発電所の経営に対する不安、ゴミを燃やすことを産業とすることがゴミ減量化と矛盾することなどの理由で、市民の間にこの事業に対する不安が広がっていました。
 この間、いくつかのグループが独自に行政交渉や集会をもってきましたが、基本的な問題が解決されぬまま事態が進行する中で、立場の違いや多少の意見の違いを認め合いながら今回の講演会を企画しました。
 講演会ではまず、環境総合研究所の青山貞一氏が、「ゴミ焼却主義からの脱却を!」と題して講演しました。青山氏はゴミ焼却に伴うダイオキシンによる汚染の実態と、行政が有害物質を分析する際の値を低くするためのカラクリ、焼却炉の大型化・広域化の問題点などを通して、循環型社会に向けてのシナリオを示しました。
 続いて、日刊静岡の米山昭良氏が、「RDF地獄の町から」と題して、静岡県御殿場市小山町で起こっていることを報告しました。鳴り物入りで導入されたRDF化施設での相つぐトラブル、倍増したゴミ処理費、そして「分別しなくてよい」ことによる市民の意識の低下などが具体的に報告されました。
 この講演会直後の二十五日、福岡県は「大牟田川中流域で環境基準の三百五十倍に相当する水一リットル当たり三五〇ピコグラムのダイオキシンを検出し、川底からしみ出した油玉は何と一グラム当たり三九万ピコグラムを検出した」と発表しました。
 かつて公害の代名詞だった大牟田川の川底を七五年に浚渫(しゅんせつ)し、コンクリート三面張りにしたのですが、二十五年たってつなぎ目から汚染物質がしみ出してきたのです。そしてその時、浚渫ヘドロで埋め立てた土地が、今回RDF発電所をはじめとする環境リサイクル産業が展開されようとする予定地なのです。
 さらに、三井鉱山が所有していた汚染物質だらけのその土地を、市が手助けして土地区画整理事業として造成し、市や第三セクターに売却しようとしているなど、相変わらずの三井に奉仕する市政が展開されています。
 今回の講演会は、このような状況への異議申し立てが少しずつ進んでいることを示しているといえます。 


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