20000715


頭に来る規制緩和

許せない! 近鉄北勢線廃止

紙切れ1枚でローカル線がなくなる

三重 上田 綾子


 七月七日、いつものようにあわただしい朝。「おい、北勢線廃止問題で労働党が申し入れしたという記事が載っているぞ」と新聞に目を通していた夫の声。どれどれとのぞいてみる。短い記事であったが、確かに。「うん、すばやいネェ。がんばってもらっているネェ」と私。というのもこの問題、わが家にも影響があるから、話題になっていたところなんです。
 近鉄北勢線とは、三重県の桑名市(西桑名駅)から、北勢町の阿下喜駅までの二十・四キロを走るローカル線です。その廃止計画が新聞に載ったのが、七月四日でした。わが家にも影響があるといったのは、息子が来年沿線にある高校に入学したいと言っていたからです。突然の廃止計画の報道に、息子はあ然。「お母ちゃんどうしよう。そうだ、途中まで車に乗せてもらって、そこから自転車で行けばいいんだ」と息子。「じゃ、帰りはどうするの?」と私。「……」と息子。

みんなの生活に深刻な影響が
 
 なぜ突然廃止計画なのかと思って、よく新聞を読んでみると、鉄道事業法が改正されて、今まで「許可制」だったのが、この三月からは「届け出制」に変わったので、紙切れ一枚で廃止できるようになったからと書いてありました。
 そうか、近鉄はこの法律を待っていて、さっそくやってきたのか。これじゃ赤字ローカル線は次々に廃止されていくということじゃないの。そう思うと頭に来ます。こんな法律いつできたかなんて、誰も知らないんじゃない。選挙の時は偉そうなこと言っているけど、国会ではとんでもない法律をどんどんつくっているのだという思いが改めてわいてきました。
 赤字ローカル線だからといって、地元との合意なしに勝手に廃止できないというこれまでの法律を、国民の知らない間に変えちゃったんだ。大企業や金持ち連中にとって都合の悪い「規制」はなしにして、なんでも「自由」にできるようにしたんだ。「規制緩和」というのは、こういうことなのネということが、よーくわかりました。
 でも、そんなこと許されていいわけありません。北勢線が廃止されたら困る人たちがたくさんいます。通勤、通学などの利用者だけでなく、駅周辺の商店などにも大きな影響が出ます。すでに新聞でも「相つぐ怒り、戸惑い」との見出しで、怒りの声を載せています。私も怒りの声を上げていきたいと思います。
 


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