20000705


青年 朝鮮戦争50年を記念して

青年・学生がシンポジウム

アジアとの関係考えよう


 「青年学生シンポジウム―朝鮮戦争開戦五十周年を迎えて」が六月二十五日、東京で開催され、青年・学生が数多く参加した。
 この催しは、東大、法政大などで日朝問題でサークル活動を行っている大学生などが実行委員会をつくり準備したもの。歴史認識問題、戦後から現在に至るまでの日本と朝鮮の関係、日本のあり方など、テーマは多岐にわたった。
 はじめに三宮克己氏(東京・府中市議)、武井昭夫氏(文芸評論家・全学連初代委員長)の二人の記念講演が行われた。
 一船員として朝鮮戦争に動員された三宮氏は、危険を冒して米軍の戦闘物資を三八度線を越えて朝鮮半島の各地の米軍港へ運んだ経験を語った。朝鮮戦争に動員された日本の船舶、鉄道の専門家たちは数千人にのぼり、実戦に参加した者のなかに死傷者まで出ている。
 また、「これは米国と国連軍の司令部のもと極秘に進められた計画であり、こんにちでもあまり詳しくは知られていない。しかし、自分は実際に何度も日本と朝鮮半島を米国の軍艦で行き来し、米軍が港湾施設を後始末として爆破する現場を目撃した。朝鮮戦争は米国の主導で行われたことは明白」と述べた。
 そして「新ガイドラインの問題などを考えると再び日本が米国の引き起こす戦争に物心両面で支援するのではとの危ぐをもたざるを得ない。この体験に関して自責の念もあるが、今後も多くの人に朝鮮戦争の実態を知ってもらうためにも語っていきたい」と結んだ。
 続いて武井氏は、朝鮮戦争前後吹き荒れたレッドパージについて自らの経験を発言した。「当時は学生運動の中でいろいろと議論もあったが団結が堅持されて大きな闘いが展開できた。こんにち闘う勢力がセクト主義の影響で四分五裂している状況は克服されなければ、何事もなすことは難しい」と語った。
 両氏の講演後、参加者を交えて「青年学生シンポジウム」が行われ、先頃の朝鮮南北首脳会談の評価、当時のレッドパージの詳しい状況、そして今日の青年学生運動の展望などについて活発な議論が行われた。
 最後に本集会の実行委員会を構成している東京大学日朝関係史研究会、法政大学日朝現代史研究会、日本アジア学生交流センター(JASIC)からそれぞれアピールが行われ、朝鮮などアジア諸国と日本との関係がどうあるべきかを多くの青年学生の間で引き続いて訴えていくことなどが強調された。
 朝鮮半島における新しい情勢が展開する中で、わが国の進路が問われている。青年学生の間で議論を起こそうという今回の試みは、大きな意義があるといえるだろう。 


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