20000625


拡大するサービス残業

自治省の巧妙なリストラ

人員削減攻撃跳ね返すぞ

自治体労働者 若松 正二郎


 介護保険が始まって、この制度のひずみが各方面で表面化しています。自治体に働く私たちにとっても大きな影響が出ています。どこの自治体でも同じだと思いますが、介護保険業務の窓口となる福祉職場では新しい仕事が増えているにもかかわらず「増員なし」です。現場では残業時間の規制があるため、「サービス残業」で対応させられ、不満が高まっています。
 こうした問題をあらゆる職場に波及させているのが「人員削減攻撃」です。私が働く市役所では、自治省の強力な指導があるようで、五カ年計画で人員の五%削減が進んでいます。
 たとえば最近、病院職場で巧妙なリストラが強行されました。病院を看護婦さんたちと共に支えてきた看護助士や用務員さんが大量に配転されたのです。その後がまは「委託会社」から派遣された労働者です。
 これまでは賃金上の格差が多少あっても、同じ市の職員として一体感もありました。これからは派遣労働者との役割分担で仕事をすることになり、目に見えないところでギクシャクし、とばっちりで患者さんに悪影響が出ないかと心配です。
 当然のことですが、自治体労働者の労働条件は年度毎の予算に大きく拘束されています。仕事が増えても、予算がないからといわれ残業時間が規制される。管理職は目をつぶって「サービス残業」を黙認と、この面でも民間企業に近づいています。最近では、福祉事務所や保健所業務でも「昼窓」(昼休みも窓口業務を行う)攻撃も画策されています。
 自治省の攻撃は実に巧妙です。従来支給されていた「旅費」や「特勤手当」なども削減対象とされています。「人勧体制」でがんじがらめの自治体労働者にとっては、市当局と交渉し「諸手当」を獲得することは、生活を守るうえで欠かせないことです。その既得権がつぎつぎと奪われています。
 しかも、労働組合までが「財政赤字」を前提にする敵の土俵の上で議論するようになっています。政府の景気対策のために膨大な自治体財政が大企業につぎこまれ、赤字がふくらんでいることに目を向けようとしません。
 やり場のない怒りが蓄積されてきましたが、自治労中央が熱心に支える政党は民主党です。総選挙でも民主党は馬脚をあらわしています。
 課税最低限の引き下げもそうですが、近隣のA市から立候補している民主党の候補者はポスターに堂々と「道州制の導入で十五兆円の節税」と宣伝しています。小さな政府、公務員の首切りで十五兆円を削減しようとするのでしょうか。
 総選挙の結果がどうあれ、自治体労働者をめぐる攻防が本格化します。地方自治体のありよう、住民サービスが問われるところです。世論を動員して敵の攻撃が進んでいますが、これを跳ね返す「われわれの戦略」に、仲間と共に磨きをかけてがんばりたいと思います。 
 


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