20000615


政治を変える以外にない

依然多い職安通いの人

失業者 滝本 順二


 選挙を前に、GDPが何タラ、景気回復は六合目などと、政治家は票を目当てにいろいろと数字をあげて、講釈を並べている。しかし、ちまたの景気は最悪だ。
 以前勤めていた会社を、職場の人間関係や、あまりに格差のある労働条件などが嫌になって退職して、一年以上が経過した。骨休みの気持ちで、半年はゆっくりしたが、さて、ぼちぼち勤めようとすると、これがなかなか希望に合うところがない。失業、倒産と最悪の労働環境は覚悟していたが、何とも思うように仕事が回ってこない。高額な給料を希望するわけでなく、そこそこの条件でと思うが、この一年、なんだかんだといううちに過ぎてしまった。
 最近も職安を訪ねたが、風景は何も変わっていない。職安の前でチラシを配布する人も増えたが、相変わらず職探しに来る人は多い。年配の人も多い。誰も何か黙々と資料をのぞき込んでいるが、表情は暗い。ここに来ると何か気分が暗く沈んでしまうのは、自分だけではないだろうといつも思う。
 この数年で自分の周囲の人間も、ずいぶんと生き方が変わってしまった。自営業をやっていた友人は、店を閉じてあれほど嫌がっていた勤め人に変わってしまった。はぶりのよかった不動産屋の知人は、行方がわからない。景気の善し悪しはこれほどまでに、人の人生を突然にも変えてしまうものなのだ。
 それにつけても、頭に来るのは、こんな庶民の暮らしぶりがいっこうに政治にはね返らないことだ。どんな公約を並べ立てても、何かが変わるような印象を受けないのは自分だけではないだろう。選挙に行くよりみんな今日、明日の暮らしで頭がいっぱいなはずだ。新聞に、生活のために食費を削る家庭が増えているというアンケートの結果が載っていた。
 失業で苦しんでいる人もそうだが、若い人にもこの国は将来に展望を示さない。青少年の事件が頻繁に起こっているが、将来に対する希望が感じられなければ、暴発するやつも増えるだろう。
 やっぱり政治を何とか変える以外にないと思う。選挙では大きな変化は望めない。今度の選挙の結果にも大きな期待はもてない。やはり、世の中が騒然とするような不満と怒りを直接ぶつける以外ないと思うこのごろだ。
 


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