20000615


修学旅行で59時間勤務

人員増えず仕事が増える

怒れ! 教員たち

中学校教員 安曇 亨


 二泊三日の修学旅行の引率が終わり、疲れ切った体をひきずりながら改めて考えた。一日目の朝七時過ぎの打ち合わせに始まって、三日目の夕方六時過ぎに学校に帰り着くまで、計算すると五十九時間の連続勤務。元気いっぱいの中学生だから、ホテル内で夜通し騒ぐのもいる。当然こちらもろくろく寝られず、三日目には頭ももうろうとしている。
 交代要員もいない五十九時間連続勤務は実に苦しい。さらに、五十九時間から正規の勤務時間を引いた残りの三十五時間の時間外勤務に対して、その回復のためには翌日一日きり、たった八時間しか与えられないのも実に悔しい。「おれの二十七時間を返せ!」と叫びたい。
 公立学校の教員は規定により、給料の四%の「教職調整額」でごまかされ、時間外勤務手当というものはない。三六協定もない。時間外勤務そのものがないのならそれでいいのだが、とんでもない。現実は時間外勤務の連続である。
 生身の人間を相手にする仕事だから、毎日毎日なにかが起こる。特に最近は時代の流れで生徒も多様化が進んでおり、一筋縄ではいかない。その対応に忙殺されることも多い。授業をエスケープする生徒に授業に出るように促したり、話を聞くだけでもすぐ一時間は過ぎる。昼も給食指導があるから休憩はない。授業時間が終わってへとへとになったところで、教材研究をしたり、さまざまな雑用をこなしたり。勤務時間を過ぎればボランティア(ただ働き)の部活動の指導もある。

教員だって労働者

 教員だって生身の人間、労働者である。そういう単純なことが忘れ去られていないか。学校には生徒用の保健室はあっても、職員の休養室はなく、具合が悪くても事務机にうつぶすしかない。衛生推進者も選任されておらず、労安法も無視状態だ。教員定数も一向に増えないのに、多忙化攻撃だけはいろんな方面から仕掛けられてくる。
 たとえば「総合的な学習の時間」を含む新指導要領の先取り実施で仕事量が増える。そうかと思うと校舎の戸締りを徹底しろという通達が来る。だいたい校舎の戸締りなど、市が責任を持って人員を配置すべきなのに、安易に教員に代行させているのだ。
 それどころか市は今後、用務員を短時間のパートにし人件費を浮かせようとしているらしい。ますます教員の本務外の仕事が増えていくことが予想される。教員の勤務条件の悪化は、教育の質の低下に直結しかねない。
 怒れ、教員! 自分の勤務条件すら自分で守れないような教員に、「生きる力」を身につけさせる教育ができるのか? 


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