20000525


共産党が交通違反もみ消し

警察との驚くべきゆ着

東京都 森尾 護


 「政教分離を考える会」の白川議員(自民党)の交通違反もみ消し事件で、公明党が大騒ぎをしている。そうした中で、週刊朝日(五月五日・十二日合併増大号)が「交通違反もみ消し 共産党にも重大疑惑」と、共産党都議が交通違反もみ消しを行っていたことをスクープした。読者の皆さんの中にも、その記事を読んだ人がいると思いますが、どうでしたか。
 この事実を公表した人物は共産党都議団の元事務局員だ。共産党都議団の秋田団長は「うちの党に限って、もみ消しはない」と言い、共産党広報部も「問い合わせされているようなことはいっさいない。事実無根である。交通違反のもみ消しなど許されないことだ」と、えん罪だとコメントしていた。
 ここまでは、やった、やらないという、週刊誌などではよくある話だ。 
 ところが、共産党は五月四日、週刊朝日で指摘された共産党都議の交通違反もみ消しについて、調査結果を発表し「八〇年代には、この種の問題で警察に『考慮』を要請したなどの例は、栗原、茶山両都議以外にも、一定数ありました」と、もみ消しの事実を認めた。そして、九〇年代に新しい指導体制をつくった際に、「交通違反問題での警察への働きかけが誤りであることを指摘し、こういうことは一切しないという原則的態度をを確立した」としている。
 共産党の主張は、もみ消しを行った事実はあったが、すでに改善されている。元都議については、十年以上前のことなので「厳重注意」したので解決したということであろう。
 しかし、同週刊誌では匿名の共産党現職区議が、昨年行った自らのもみ消し工作を認めて、「ほかの党だってやっている。まぁ、件数はうちのほうが多いと思うけど」と堂々と語っている。
 警察と共産党との驚くべきゆ着である。ある警視は「各党を監視し、警視庁への質問をできうる限り阻止する。そのためには各党派の弱点を日常的に把握し、いざというときにそれを突きつけ、議会で質問をさせないようにする」ことが、もみ消し協力の狙いだったとあかしたそうだ。
 それでは、警察からの借りを、共産党は何で返したのだろうか。
 ちなみに告発した元事務局員は三十年以上の永年党員だったが、労働争議で仲裁に入ったのを「恐喝」として除名されている。いつもあやしくなると、当事者を除名し、その個人の責任にしてしまう共産党の体質は変わっていない。
 共産党は、自民党の白川議員のもみ消しについて「政権党と警察のゆ着」と批判し、「過去の同種事件の徹底調査と報告」を衆議院法務委員会で要求していた。
 とすれば、東京都議会でも「過去の同種事件の徹底調査と報告」を求めるはずだが、どういうわけかそうした報道はない。
 共産党は、自民党議員の交通違反もみ消しは徹底調査を要求するが、自分のところのもみ消しについては、「厳重注意」と今回の報告でこと足りるとみているようだ。それはあまりにも人をなめた話である。こうしたところに共産党の「唯我独尊」体質が現れていると感じるのは、私だけだろうか。 


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