20000515


五月晴れのメーデー

デモでも行ってみるか

福岡・村越 敬


 昨年のメーデーは、「屋内集会」でデモ(最近は「パレード」というのだが)もなく、やたらとバンドの音楽がうるさく頭が痛くなった。「なんでこんなに天気がいいのに屋内でやるのか」と、不満もたくさん出た。俺も面白くなかったので、途中で帰ってしまった。
 今年は、ちゃんと屋外であるし、「デモ行進」もあるというので、いっちょう行ってみるかという気分もあって、会場へ向かった。入り口で、プログラムを配っている。あれこれチラシも配っている。五月晴れで、屋外だから気持ちがいい。
 今年は、連休も長いし、参加者は少ないのかなあと思っていたが、結構集まっている。赤、青、黄、緑と色とりどりの組合旗や幟(のぼり)も青空にはためいてにぎやかじゃないか。まあ昔はほとんど赤旗ばっかりだったけど、最近はいろんな色がある。連合になってから、いろんな色あいの組合が参加するので、悪いことばかりじゃあるまい。
 集会が始まって、主催者のあいさつでは、雇用やリストラが厳しいこと、年金や医療制度のことなどをあげ、自公保の政権にたいする批判がかなり厳しい調子で出された。中央メーデーに労働大臣が出席しないのはけしからんということまで付け加えられた。昨年までの雰囲気からすれば、「オッ!」と思ったが、まあ総選挙も近いし、民主党基軸でということで、ここは一番ブチ上げて雰囲気をつくろうということか、とすぐ見抜いてしまうのは俺だけだろうか?
 案の定、来賓には県知事、市長なども来て、型通りのあいさつをするが、しらじらしい。民主党の候補者が何人か紹介される。社民党は候補者がいない。一生懸命何かしゃべっているが、頭に残らない。何を言ったのかも忘れた。
 だんだん、日差しも強くなって、木陰に入り込むものも多いし、会場もばらついてくる。あたりを見回すと、別の組合だが久しぶりに顔を会わせる知人がいた。「久しぶりなだなあ、まだメーデーに来なきゃいかんのか(まだ組合員かということ)」と聞くと、「一組合員だから、やっぱりな」とこたえた。活動家でもないが、一組合員でもそのくらいの気持ちはある。
 いまの組合がそんな気持ちにこたえる運動をやっているのかなあ。春闘も、ほとんど賃上げはかちとれず、惨敗。それでも反省の声も聞かれず、どうやってこの惨状を変えていくのかということも聞こえてこない。自分たちの力にたよって、自力で切り開くしかないのじゃないかと思う。政権党にすりよって、頭をなでられ、挙げ句の果てに「アホ」呼ばわりされるような情けない組合にした張本人は「勲章」をもらった。資本家にすれば、たしかに「功労」者だろうと思う。
 スローガンやメーデー宣言などが採択されて、団結ガンバロー! やっぱり、「団結ガンバロー!」だ。
 型通りの集会が終わってデモ行進(今年のプログラムにはデモ行進と書いてあった)。民主党や社民党などの政党が先頭で、その後にそれぞれの組合が続く。顔見知りの社民党の地方議員が、自嘲(じちょう)気味に話しかけてきた「(社民党の)旗もずいぶん小さくなったなあ、色も変わったなあ」。「元気出してがんばりましょう」と激励したが、総選挙が終わればどうなるのかと頭をよぎった。
 デモ行進に、道行く人や商店の人もみんな注目する。大したデモではないが、それでも手に手に旗やプラカードを持って何千人という組合員が行進するのは壮観だ。だんだん仕事も厳しくなるし、賃金も上がらず、リストラもすごい。労働組合の必要さもますます高まっている。
 最近の株価の動きをみても、先行きは乱世を思わせる。いまはのんびりしていても、だまされているように見えても、きっと立ち上がらざるをえない時期がそんなに遠くはあるまいと思って、その時のために団結をしっかりと固めていこうと、あらためて思ったのでした。
 


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