20000515


給料の次は勤務体系の変更

残業前の休憩もなくなる

現場には強い反発あり

自動車工場労働者 岡田 邦男


 今度は勤務体系が大きく変えられてしまうかもしれない――。
 私の会社は、大手自動車会社の子会社になった五年前に、給料体系が親会社に準じて大きく変わり、それまでの資格給の部分が減らされ能力給が導入された。それまであった奨励給も昨年からなくなった。若い人は給料が増えたが、四十五歳以上は大幅に賃金カットとなり、定年間近の人で五〜六万円も下がったということだ。自分も六千円ぐらい減らされた。
 今度は、勤務体系に手をつけるというのだ。いまは二交代制で、たとえば昼勤の場合は、八時半出勤で定時が十七時十五分まで。その間、休憩が十時と十五時に七分、昼休みが四十五分となっている。普通一〜二時間の残業があるが、定時の十七時十五分から十五分休憩が入ることになっている。
 今度採用される勤務時間は、定時が八時〜十七時となり、十時と十五時に十分、昼に六十分の休憩が入るが、残業前の休憩が、一時間残業の場合は休憩なし、残業一時間半の場合で五分、残業二時間の場合で十分になるという。一時間残業の場合は三時から六時までぶっ続けに働くことになる。これはかなりつらいことだ。これまでは残業の前にうどんの一杯も食べられたのに、これからはそうもいかなくなる。
 現場からは相当反発があるが、いまの労働組合は労連に執行役員も出して親会社労組とも一体化しつつあって、とりあげる姿勢がまるでない。この勤務形態の変更はそのうち決められてしまう、仕方がないと、皆あきらめている。なんとかしなくてはならない。
 今の会社に勤めて十四年目だが、働き始めたばかりの時はちょうどバブル全盛期で車がよく売れ、増産、増産で、奨励給も相当ついていた。その後、生産は大幅ダウンして、そのたびに外注(下請け業者)が減らされた。そしてここ数年では子会社化、工場拡張の二つの大きな波があって、どんどん現場への締め付けが厳しくなっている。 
 私も一昨年から昨年にかけて一年間、親会社の工場に出向になり、三回も職場が変わったし、戻ってきても一時帰休のような状態が二カ月間続いた。今はまた仕事があるのでなんとかなっているが、その時は給料が十万円ほど減った。
 下請け会社もそこの労働者がヘマをやると契約を切られるので、社長が現場を見回りにくるようになったし、現場に部品を運ぶ運送会社なども、時間を相当厳密に点検されるようになった。部品会社にとっても、ここ数年が正念場だろう。
 いま、自動車業界は、世界的な大再編で、自分の親会社も外国企業との資本提携をして、主力工場の売却や閉鎖がすでに予定されている。最近、設備投資主導で景気がよくなりつつあるということを聞くが、少なくとも私の現場では設備投資は何もやられていない。現場のラインや人員配置も、この二、三年どうなるか分からない状況だ。働く仲間とともに、自分に何ができるか考えていきたいと思っている。 


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