20000515


多発する医療事故

労働条件の改善こそ課題

神奈川・医療労働者 林田 康二


 ここ神奈川でも、最近医療事故がよく報道されています。医療現場の片隅で生きている者として身がさいなまれる思いもします。
 医療事故のたびに作業システムの改善、器具の改善、従業者の教育などの問題が指摘されています。それはそれで必要なことでありますが、肝心の医療労働者の過酷な労働環境については、意図的なのか、それともおおよそ頭にないのか、ほとんど伝えられていないのが現状です。東海大病院の注射、内服の取り間違い事件にしても、十二時間以上の夜勤を交代する直前の事故だったと伝えられています。
 最近では、病院でも「経営の改善」の名のもとに正規職員の人減らし、派遣業務、委託がはやっています。もはや医は医療福祉というよりもビジネスであり、企業経営の側面が大きくなっています。
 医療や福祉もカネ次第という世の中です。医療に携わる私たちがいま一度労働組合運動を前進させ、職場環境を改善していくことが、結果的に医療事故をなくすことにもなるはずです。
 自民党は選挙対策、医師会対策という観点から、老人医療費の一部負担案を撤回しました。このようなごまかしではなく、国民が安心して受けられる医療・福祉制度が必要です。政府は福祉にまわす財源がないといいながら、銀行には巨額の税金を注ぎ込んでいます。「税金は銀行救済に使わず、国民のために使え!」という声をあげていかなくてはならないと痛感しています。
 総選挙が近いようですが、リストラ・労働強化に苦しむ労働者、不況にあえぐ中小零細業者の声を代弁する政党がぜひとも必要な時代となってきました。労働党の前進を期待しています。  


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