20000515


デッチ上げで不当解雇

労基法無視の会社に怒り

勝利するまで闘争継続

契約社員 高石 守


 私は約一年前まで、テレマーケティング業界トップクラスの企業に働いていました。身分は契約社員です。業務請負先に派遣されて、そこで顧客サービスを担当していました。
 請負先の会社内には、わが社の社員が延べ百人ほど交代で仕事をしており、担当部署の大半を占めています。顧客からの対応をいっさい任されています。通信という公共性の高い業務ですから、株式上場の請負会社が労働基準法を順守した労務管理が要求されるのはいうまでもありません。
 しかしながら、長期勤務のパート社員が職場全体の七割ほど占める中で、有給休暇や社会保険の取得がほとんど行われていないという状況です。これは会社側は取得可能なことを案内せず、若いパート社員はその権利すら知らないのです。このような中で私は、仕事で話をするパート社員には労働基準法上の権利の話をしておりましたが、労働組合結成を展望できる活動にならなかったことを反省しております。
 個人としては、会社に対する闘いは入社時より行ってはいました。社会保険の加入は、通常の社内慣例より早い手続きを実現させ、有給休暇は何度かの交渉の後、事後(休暇後の申請)取得も認めさせました。
 この認知は会社にとって不本意であったためか、この直後に私が体調を崩して数日間欠勤したところ、無断欠勤との理由で懲戒解雇を通告されました。しかし、事前に携帯電話で会社へ欠勤連絡をしていたために通話履歴が残っており、後日会社のデッチ上げが裁判所でも立証されました。
 今回の懲戒解雇の真の理由は、人件費の高い業務請負や人材派遣の会社にとって、労基法上の有給休暇や社会保険の加入を主張する者は、最終的に排除するということでしょう。物を生産する会社と異なり、社員にかかる経費を極限まで節減することを至上命題としているようです。時には法律無視もというのが、私の勤務していた会社の姿勢です。
 この不当解雇に対しては、上述の理由のほかに手続き上も労基法違反に該当するために、裁判所へ地位保全の仮処分申請を申し立てました。数回の審尋後、今年に入って決定が出ました。内容は原告や被告の言い分とは異なり、会社側の契約更新の拒絶が、解雇前に有効に成立していると判断され、申請は棄却されました。

職業訓練を受講

 予想もしない判断であり、会社側の違法行為に対して甘いものであるため、納得できません。今回の争いに対しては、訴訟継続の検討をしていくつもりです。しかし、生活もありますので、私は一つの選択をしました。
 アルバイトをしながら仮処分申請をしておりましたが、その期間も過ぎたので労働争議中でも支給される失業手当の受給手続きを、公共職業安定所でとりました。そして現在は、当初の受給期間も過ぎました。四十歳を超える私は、アルバイト先も少ないため、失業手当が延長される職業訓練制度を知り、公共職業安定所を通じて受講しています。
 制度の内容は土、日、祝日を除く毎日、一日六時間の授業を労働省の外郭団体より委託を受けた希望する専門学校で勉強するというものです。失業手当以外にも通学交通費や一日六百円の受講手当が支給されます。もちろん、授業料は失業対策事業のため、無料です。この制度の正式名称は「緊急再就職促進訓練」で、実施機関は安定所と提携している雇用能力開発機構です。
 失業者が増えている昨今、私の県でも毎回の募集で多くの申し込みがあるようですが、定員オーバーのコース以外であれば、いろいろな講座が受講できるようです。
 行政による失業者に対する直接の支援は、中小企業対策と比べて数少ないですが、情報のアンテナをめぐらして有効に活用していきたいものです。前半に述べました私の会社に対する闘いも、勝利を得ることになりましたら、紙面をお借りしてご報告させていただきます。 


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