20000425


「3人分の仕事を2人でやれ」

腹の中には不満が蓄積

機械工場労働者 村松 弘三


 私は高校を卒業して関西のある大手の会社に就職しましたが、どうしても「都会の水」になれず、生まれ故郷にUターンしました。そして地元の工作機械を製造している会社に勤めてもう三十余年になります。
 この会社は地域では大きな会社ですが、労働組合がありません。輸出の割合が多いので一時景気もよく、会社はどんどん大きくなりましたが、円高が進むたびに打撃を受け、そのシワヨセは働く者に押しつけられてきました。
 今のような不況ですから、工作機械がそんなに売れるわけはありません。そこで会社が打ち出してきた方針は、人員の二割削減というものです。ただすぐに首切りというわけではなく、退職者の補充をしないで削減していこうというものです。少ない人員で今までの仕事をこなしていこうということですから、当然労働強化になります。
 最近私のまわりの職場で、これまで仕事を三人でやっていたのですが、その内の一人が三カ月間研修に行くことになりました。なんとそこには人員の補充がなされず、二人でまわせといわれたのです。 彼らは必死になって仕事をしましたが、三人でやっていた仕事を二人でやりきることはできません。そこで次の行程のグループが自分たちの仕事もあるのに応援しなければならないようになり、本当にテンテコマイしています。みんなクタクタなっているのに職制は涼しい顔で、「やればできるじゃないか」とばかりの態度。
 職制にとっては今まで三人でやっていた仕事が二人でできたということで、会社の職制への評価は上がるでしょうが、現場で働くものにとっては冗談ではない。研修へ行っている仲間が帰ってきたら、どこか他の部署に回されるのではないかとみな心配しています。
 労働組合がないこともあり、労働条件も会社の腹一つです。昨年のベースアップは三百円でした。今年どうなるかは、四月の給料をもらうまで誰にも分かりません。今年はゼロだといううわさも出ています。
 
冬の後には必ず春が来る
 
 特にみんなの不満が高いのは、ボーナスです。昨年はそれまでより一カ月分少なくなりました。その上査定分(五段階評価)がすごく多いのです。しかも最低評価にランクされたものには、査定分はゼロ! なのです。労働者を分断して支配するということを絵に描いたようにやっているのです。会社は思い通りやっていると思っているでしょうが、みんなの腹の中には不満がいっぱいたまっています。
 以前、この会社で労働組合をつくろうという動きがありました。しかし会社に察知され、つぶされてしまいました。それ以来、長い冬の時代が続いています。世間では桜の花が咲き始めています。長い冬の後には輝く春が来るものだと思いつつ、がんばっていかなければと思っています。 


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