20000415


ベアは100円玉1個だが

俺はあきらめないぞ

食品工場労働者 曽根 友貴


 好天に恵まれ、近所にある花見のメッカは大にぎわいである。
 特に若い男女が元気よさそうに見えるのはどうしたことか。厳しい現実におかれているはずなのだが、深刻に考えることをすでにやめてしまったのだろうか。あるいはせめてハレの日くらいはパッといこうと、元気を装っているのだろうか。
 さて、春といえば春闘。今年の春闘要求はベースアップ一%で、ほかにはなし。回答は〇・二%で、まあしょーがねーかなーということで妥結したんだが、金額でいえば、百円玉一個のベースアップだ。
 アンケートをとってもみんなの要求は低い。あきらめているんだろうか。二年前なんかみんなの要求が低すぎて、こんなんじゃ会社になめられるということで、執行部の独断で要求を引き上げたことがあるくらいだ。
 昔は地域のつながりがあったからメーデーに行ったりもしたが、近ごろはメーデーに行こうなんて話は出ない。上部団体もないし、会場に行ったとしても俺たちの場所はない。かといって何もしないんじゃメーデーの休日すらなくされてしまうから、組合でメーデー記念のテレホンカードやシャープペンシルをつくって配っている。行動にはならないが、せめてもの「おしるし」といったところだ。
 従業員の構成は典型的な逆ピラミッド型だ。仕事が成り立たないので少しは若い者を入れているんだけど、五十過ぎが圧倒的に多く、あと何年か生き延びることができればという雰囲気だから、春闘だって意気が上がらない。
 こんな職場だから、俺だって、組合活動を投げ出したくなることだってある。でも俺たちが世の中を変えようというときに、彼らが動かなければ世の中変わらない。だから、あきらめるわけにはいかない…。さて、うちの職場でどうやるか、ここが思案のしどころだ。 


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