20000405


就職未内定者は17万人も
内定取り消しのケースも

新卒者に働く場を


 失業率が過去最悪の四・九%(二月)を記録するなど、労働者の雇用と生活の危機が深刻化する中、青年の就職状況も極めて深刻なものとなっている。新年度を迎えたこの時期、いまだに就職を希望しながら職に就けず、職探しに奔走している新卒者がたくさん存在する。
 二月一日現在の新規学卒者の就職内定率は、大学で八一・六%(昨年三月一日時点で八八・七%)。男女別では、男子八三・八%(同九〇・七%)、女子七七・一%(同八四・七%)。短大(女子学生のみ)では六〇・八%(同七九・一%)と大学よりも厳しい。高校生は七九・三%(前年同期比で四・四ポイント減)となり、八八年の調査開始以来、最低となった。 昨年までは「女子、文系、地方が厳しい」と言われていたが、今年は「男子、理系、大都市圏」も落ち込みが目立っている。
 この時点で就職未内定者は、大学六万六千人、短大五万四千人、高校四万五千人、中学五千人で計十七万人となった。すでに内定をうけていた会社から、就職直前になって呼び出され「内定取り消し」を告げられるケースも多発している。
 また、就職できず、「フリーター」となる人たちからは「やはりフリーターはつらい。何しろ肩身が狭い。早く就職したい」という声もあがっている。必ずしも好きでアルバイト生活を送っているわけではない。
 一方で「大学院重点化」の影響もあり、大学院へ進学する人も増えているが、研究職ポストは限られており、院を終了しても、行き場のない「浪人」がたくさん出てくる傾向がある。
 こうした深刻な事態の下、政府・支配層は、多国籍大企業が国際競争に打ち勝つために、企業の無責任なリストラを奨励し、雇用の流動化・不安定化をおしすすめようとしている。
 「自分の能力を生かして社会に貢献したい」という青年・学生の要求は打ち砕かれ、身勝手な大企業や政府に対する不満や怒りがうずまいている。この局面を打開させるために、キャンパスや街頭で、日頃の思いや怒りを結集させる統一した行動を起こすことが緊急に求められている。(N)


希望した業種は断念
雇用を生み出す政策を
柳沢 明美


 就職活動は昨年の五月から始めました。業界新聞をまわり、六月の終わりに最終面接がいくつかあり、大丈夫そうだったので気をぬいたら落ちました。希望は出版関係だったのですが、それから業種を変えて生命保険、証券会社を中心に二十社ほどまわりました。いくつか内定をいただいたんですが、しっくりといかない部分があったのでいくつかまわり続け、最終的に九月の終わりに金融関係に決めました。
 企業は学生に多大な時間を割いてくださり、時にはお説教をしてくださる人事の方もあり、感謝したいです。今までの自分の甘さ、勉強や常識不足を指摘してくださいました。ただ、説明会、テスト、面接と五、六回かかり、交通費も学生にとっては大変なので、一日で終わるような工夫をしてほしいです。
 友人から、大企業では事務職はほぼアウトソーシング化しているので派遣しかとっていないと聞きました。派遣社員は派遣先から辞めてくださいと言われれば抵抗できません。しかも短期でしか働けないため、仕事がなくなったとき探すのが大変だと言っていました。
 今、日本で必要なことは雇用をいかに生み出すか、雇用を多くの人にわたらせるかだと思います。景気回復に期待して雇用に関する環境を放置しておくのはいかがかと思います。フランスのように労働時間を制限し、雇用を増やす努力をしなくては、高校生の就職率は上がることはないでしょう。
 日本でも高校のあり方、大学のあり方が問われ、ただ学生を放出しているだけでなく、特殊な技術や能力を教える必要があるのでは。
 少子化が進む中で、女性がもっと働き続けやすい環境をつくる努力を政府と企業にしてもらいたい。結婚までは誰しも続けられるが、子育てとなるとまだ女性が働き続ける環境ではないようです。橋本聖子みたいな人がうんじゃら出てきたら、日本も変わるかな。


研究職はハイリスク・ローリターン
大学院を出て3年…
研修員 中島 雄二


 私は大学院を三年前に卒業しましたが、やっと今年の四月に大学研修員になりました。経済的にも時間的にも、ゆとりのない生活です。
 大学院重点化以降、院生の数は増えてきました。今後、大学全体は市場の縮小が予想されます。院生全員を大学・研究所で収容できるわけはないのだから、大学側としてはこれらの高学歴者を民間受けするようなカリキュラムで体系的に訓練すべきです。
 文系大学院で特に研究職志望の場合、適性の判明時期(若手間の競争結果がうすうす分かってくる時期)が三十歳代半ばになることもあり、不適な人の進路変更がなかなか難しいことがあります。研究職にとどまれるかどうかの結果が早い時期に分かるようなシステムが必要です。
 研究者というのは個人レベルの競争社会で、優勝劣敗は致し方ないし、また必要なことです。だとすれば、負けた側をどう受け入れるかということが、競争を有効に機能させるためにも重要だろうと思います。研究職志望が今後はハイリスク・ローリターンなかけになるということが広く認知されればと思います。


卒業しても就職先がない
とりあえずフリーター
秋元 洋子


 二月までに、五十社以上に資料請求しましたが、五〜六社くらいしか返答が得られませんでした。インターネットでも資料請求と会社案内を見て探しました。十社程度まわりましたが、いい返事はもらえませんでした。
 大学時代で学んだことは役立てそうですが、勉強そのものが役に立つわけではありません。本当にやりたいことを選びとることができるのか、考えるようになりました。
 いろいろな就職雑誌を見ていて思うことは、結局のところ、自分だけの武器となる力、資格などが必要ですし、またそれが要求されているように思います。
 生活に困らないくらいの財力を得るために、とりあえずはフリーターをやりますが、早くきちんと就職したいですね。 


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