20000405


黙ると会社の思い通り

「やっぱり言わないかん」

滋賀・村田 良吉


 大手労組の二〇〇〇年春闘は、史上最低の賃上げで終結しました。この不況のもとで、労働者の切実な思いとはかけ離れた結果です。連合は、自民党の亀井に「アホ」呼わばりされるほど。まったく情けない話です。
 最近、集まった仲間たちと春闘の話題になりました。Aさんは、大手の電機関連の企業に勤めています。二日前に中央交渉で妥結した賃上げ金額は三百円ちょっと。平均ベースで定昇分と合わせても、六千円ちょっとだそうです。労働組合の妥結速報をみせてもらいましたが、各交渉時の労資間の言い分が掲載してある個所は「おまえはどっちの立場か」と言いたくなるような主張ばかりで、これでは労働組合執行部には期待できないと思いました。
 また、Aさんの職場では、品質向上を名目に、工場内の機器設備の清掃作業に「協力」をさせられていますが、最初の「協力」作業の時に事前に何の打診もなく、一方的に各課の分担が発表されたために、皆が「何の相談もなしにやるのはおかしいんじゃないか」と文句を言ったそうです。そうしたら二度目の時は、Aさんの職場は「協力」作業から外されました。このいきさつを知っていた、別の職場の労働者が「○○ちゃん! やっぱり言うべきことは言わないといかんな」と話しかけてきたそうです。 
 Bさんは、派遣労働者で、契約期間が限定されていることで、厳しい労働を強いられています。派遣された労働者は、行き先の職場で本工の人たちとの人間関係にも相当に気をつかい、なおかつ、同じ職場で同じ労働をしても労働条件には雲泥の差があります。
 この春闘時に、派遣会社の担当が職場に訪ねてきて、「厳しい折だから、賃上げはなしにしてもらいたい。一時金も減らさざるをえないのでよろしく」と言ったそうです。Bさんは「それは納得できない」と断固拒否したら、「それなら社長に直接言ってくれ」と言って帰ったそうです。
 後日社長に電話して「おかしいじゃないですか」と詰問したら、社長は「ボーナスを減らすと言ったのは担当者の間違いで、ボーナスは減らさない。でも賃上げはできない」と態度を変えました。Bさんは納得できないと了解をしないまま電話を切ったそうですが、「言わなければその通りになってしまっていた」と話していました。
 労働組合があるところでもないところでも、労働者が黙っていたら、会社の一方的なやり口で、労働者の労働条件はどんどんと切り下げられ、権利も何もあったもんじゃないなあと痛感しました。
 国民は不況で四苦八苦しているのに、警察は雪見酒にかけマージャン、つぎつぎと出てくる不祥事。一部の特権層だけが甘い汁を吸う社会に、国民の怒りはたまっています。職場を変えるにも、社会を変えるにも、やっぱり労働者は黙っていたらダメです。言うべきことを言って、闘う以外にないと思います。そしてそれは必ず国民の支持を得ると思います。 


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