20000405


税収アップへ電算化

税務職員はクタクタ

他人事ではない放火事件

自治体労働者 桑原 正秀


 私は市役所の税務部門で働いています。東京では外形標準課税をつくって税収を増やそうとしていますが、私の市では税務事務を電算化して財産の差し押さえや取り立てを強化しようとしています。また職場の中に班をつくって職員同士を競争させて、税収を増やそうとしています。
 最近、広島市では労働強化の中で税務職員が職場に火をつけるという事件が起こりましたが、私の職場でも他人事ではありません。現在、市当局が進める税収アップの業務変更の中で、確実に職場の労働条件の悪化と市民の生活を無視した滞納整理が行われそうです。
 また、四月から介護保険が実施されますが、私たちのところでも認定業務や受付業務など、まったく不十分な体制で見切り発車しようとしています。最近問題になっているのは、市役所のホームヘルパー業務が全廃されて民間に任されることです。
 これに対しては「介護保険になっても市役所の福祉や保健所と連携する業務は残っている。民間ではやりたがらない困難な業務もある」と職場の人たちは反対してきましたが、結局ヘルパー業務は全部民間に任されそうです。
 保険料の問題もあり、介護保険そのものがどうなるか分かりませんが、サービス提供の面でも介護を受ける人たちの要望よりも、行革を進めたい市役所や民間の利潤優先が介護保険を支配しそうです。

「三池」を学んで新たな認識が

 さて、最近職場の仲間と藤沢孝雄さんの「三池闘争と私」という本の学習会を行いました。三池闘争については昔記録映画で見たことがあって少しは知っているつもりでしたが、今回は見方が少し変わりました。
 それは、以前は三池労組という組合は最初から強い組合で、その組合が当然のようにあの大闘争を闘ったと考えていたのですが、三池労組も最初は労資協調の「眠れる豚」といわれた時代があったこと。また、あの三池闘争も今の不況やリストラの中の闘いと同じで、「エネルギー転換の中で闘ってもだめだ」「会社があっての労働者だ」という世論があり、三井の他の組合が脱落したり、職場にも第二組合がつくられるという厳しい中での闘いだったということを知りました。
 学習会の中でも「今の労働者を信じることができるのか」「ほんとうに労働者は闘いに立ち上がるのか」ということも議論になりました。たしかに職場を見ると自分のことばかり考えて闘おうとしない労働者やストもやらない組合の弱さばかりが目につきます。
 しかし、藤沢さんのいう「資本の論理は今も昔も変わらない」「職場の中で文句は出ていないのか、抵抗はないのか」という問いかけには考えさせられました。いるのです。ただ、組合の役員をしている私たち自身が「闘ってもだめだ」と考えているだけなのです。「三池闘争と私」の学習会は、そんなことを再認識する学習会となりました。 


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