20000325


はたらく車

清掃労働者 田村 昇一


 清掃車は小さな子供にとても人気があります。毎日、何カ所かの集積場で、親に抱かれた子供がゴミを車に積み込むのを面白そうに見ています。次の場所に移る前に、「バイバイ」と言って手を振ってくれるので、こちらも手を振って別れます。
 「若い女の子にもこんなに人気があるといいのにな」なんて、仲間としゃべりながら仕事をしています。
 しかし、たまにはとても嫌な思いをするときもあります。道ですれちがう時、鼻をつまんで嫌な顔をする大人もいますし、小学生でもこっちを避けるように歩く人もいます。
 先日もこんなことがありました。
 市立の保育園の前にある集積所にゴミを取りに行った時、いつもなら「ゴミ屋さん」と黄色い声が飛び交うのに、そのときは、「ゴミ屋」「ゴミ屋」と、小さな子供たちが私たちを呼び捨てにするのです。ああ、この子らの親がこういうふうに言っているんだなと思いながら、何か言わなければと思いましたがその時は言葉が出ず、逃げるようにして移動しました。
 数日後、またその集積所に行く前に、また「ゴミ屋」と言われたら子供たちに何て言おうか考えながら行くと、子供たちが「ゴミ屋さん、いつもきれいにしてくれてありがとう」とそろって言うのです。
 この前行った時、子供たちの後ろに保母さんがいたので、何で注意しないんだろうと思っていました。そしたら、やはり保母さんが子供たちに話をしてくれたんだなあと思いました。車を次の集積所に移動させながら、目頭が熱くなり、景色がにじんで見えました。保母さんも同じ市職の仲間です。労働者はいいなあとつくづく思いました。
 そんな現業労働者もいま、民営化の攻撃にさらされています。私の職場は、十数年前に民間委託攻撃をはねかえす闘いに勝ちました。その後、毎年新入職員を迎えていましたが、三年前からは退職者の補充もされなくなりました。
 組合が、自治労と自治労連に分裂してから、組合に加入しない人も増えて力が弱くなり、闘えなくなってきたためです。私の職場は自治労連の方に行ってしまいました。批判勢力がいなくなったためか、いまの執行部は以前のように熱心に職場に話に来なくなりました。選挙だけは熱心ですが、それも執行部だけで活動しています。
 仕事は増えているのに人が減るので毎日がきつくなり、私も昨年、二度ギックリ腰になってしまい、いまでも治療しています。定年まで働けるかどうか、心配しています。
 何とか以前のように活気ある職場にしたい、そんな思いで職場の仲間と話しています。 


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