20000305


すさまじい戦闘機の爆音
むかつく! 米軍のNLP

小学校の発表会めちゃくちゃに

座間市 滝川 聡美


二月十五日から三日間にわたって、厚木基地で米軍のNLP(夜間離発着訓練)が強行されました。
 その日は、小学校のクラブ発表会でした。音楽部による演奏と演劇部による劇の発表会は放課後行われました。クラブの子供たちは、この日のために連日、休み時間を返上し、時には放課後も残り、一生懸命に練習してきました。音楽のけいこに通っている子供たちの集まりではないので、かなり練習に励んでいました。
 演劇部の子供たちは、広い体育館での発表とあって、声が通るかどうかとても不安なようすで、セリフを覚えること、お腹から声を出すことにかなり苦労していました。暇を見つけて、小さい体でよくがんばっているなと、私も応援していました。
 当日緊張した表情で子供たちは、真剣に演奏していました。音楽部の発表が終わり、演劇部の発表です。担当の先生も衣装や大道具、小道具、そしてキャストの組み合わせなど苦労されたことでしょう。本当に工夫されていました。子供たちもお腹から声を出し、広い体育館の隅々まで通る声で、出だしは好調でした。小さな一年生も真剣な目で食い入るように見ていました。
 ところがです。途中から外からものすごい音でセリフがかき消されしまうのです。そうです。あの基地を離発着する戦闘機のごう音です。途中のセリフが聞こえなくなると、低学年には話がつながらなくなり、内容が理解できなくなります。それまで楽しく見ていた子供たちも、集中力がなくなっていきます。爆音は一回や二回ではありませんでした。やんだかと思うとまた次の爆音が地を割るように響いてくるのです。これでもかこれでもかというように……。
 「むかつく」という言葉はなんていやな言葉だろうと、ふだん子供にも注意している言葉なのに、この時、私は「むかつく」と心の中で叫んでしまいました。

踏みにじられた子供たちの思い

 実は、演劇部や音楽部は「演劇部は発表があって大変だ。発表は見たいけれど自分が部に入るのはいや」という子供が多く、毎年入部希望者が少ないのです。「でも誰かやらなくては。発表を楽しみにしている低学年もいるし……」と他のクラブへの希望をあきらめ入部してきた子供たちなのです。
 そして、この日のために一年間練習に励んできたのです。長期間にわたるこの子たちの思いが、厚木基地からの爆音で無にされたようなものです。
 たかが小学校のクラブ発表と言わないでください。この日の二時間にいろいろな子供たちの一年間の思いが込められていたのですから。とっても悔しいです。そんな体育館でのようすをあざ笑うかのように、飛行機は飛び続けていたのですから。
 昨年は、運動会の日も展示飛行により子供たちの学習発表の場が、いえ、命そのものが脅かされました。大きな行事だけが保証されればよいということではありませんが、あまりにもひどい話です。
 日常の授業もとても困っています。今回のNLPでも昼間なのに爆音で授業中の発言が聞こえなくて繰り返し発言したり、授業を中断したりしているのです。あまりにも日常的になってしまい、子供たちも「もっと大きい声で言わないと聞こえないよ」とか「待って。飛行機が行っちゃうまで」なんて、まるで自分たちが悪いかのように過ごしてしまうこともあります。
 いやいや、それこそちょっと待って! ここ(厚木基地周辺)に住んで、この学校に通っている子供たちが悪いのですか。学習権を奪われるようなことに、ガマンしなくはいけないのですか。時に身の危険を感じても黙っていろというのですか。この期間中に、高校受験の日もありました。中学生にとっては、人生の中でとても大切な一日です。あまりにも、基地周辺に住む人間を無視した米軍の行動に、怒りがおさまらない今日この頃です。 


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