990225


新ガイドライン関連法案を廃案に(3)

運動の広がり求めがんばる女性団体




 小渕政権は、新ガイドラインを五月訪米前に成立させるべく、特別委員会を設置した。いよいよ闘いは正念場を迎えている。新ガイドラインに反対し、ねばり強い共同行動をすすめてきた女性団体にこれまでの取り組みと決意を聞いた。


何かしたいの声をつないで

日本YWCA 鈴木 伶子事務局長に聞く

―YWCAの組織や活動を紹介して下さい

鈴木 日本キリスト教女子青年会というキリスト教の女性の国際団体です。世界YWCAが百年ちょっと前に結成され、日本では九十年前にできました。二十六の地域YWCAがあります。戦前は地域の福祉活動をやっていたのですが、敗戦後は、侵略したことを反省して平和、人権の問題に主として関わっています。

―新ガイドラインをどのようにお考えでしょうか

鈴木 一つは、新安保といえるくらい大きな影響をあたえるものであるにもかかわらず、きちんとした国会の審議をへないでつくられたガイドラインであるということ。そして以前の安保条約よりたいへんにひどくなった点は、日本全国、そして一般市民が巻き込まれなければならないことです。自衛隊の指揮下に一般の市民が入っていくということは、以前の総動員態勢につながるものです。自衛隊法のなかにいざ戦闘が起こったときに、武力で命令に服従させてよいと書いてあり、反抗したら殺される体制に組み込まれていくことに非常な危機感を感じています。

―平和運動に対して空想的平和主義だと批判をする「現実主義者」がいますが

鈴木 今、北朝鮮という仮想敵国をつくっていると思います。韓国YWCAの人たちは統一を願っていますし、日本の過剰な北朝鮮脅威論に違和感をもっていて、日本がリーダーシップをとってほしいのは、軍事力をもって敵対関係をつくることではなくて、南北朝鮮の緊張緩和のために外交手腕をもって働くこと、その方が「現実的」だ、と言っています。

―新ガイドラインに反対する取り組みを聞かせて下さい

鈴木 六〇年安保をきっかけに毎年憲法研究会をおこない、憲法を根づかせるために人権や女性の問題を取りあげ、昨年は新ガイドラインの問題を大々的に取りあげて全国で勉強会をしました。

 昨日は、参議院議員会館内で集会を行いましたが、日本YWCAが主催して主に宗教団体、女性団体に呼びかけたら二十二の団体が加わってくださいました。用意した二百枚の入館証が全部出てしまって八十人位が中に入れませんでした。三時からは宗教者の集いでリボンで国会を取り巻こうと、全国から自分たちの絵やメッセージを書いたリ、子供達に書いてもらったのをもって、雨の中を小一時間立っていました。

 もう一つ同時に、宗教者が請願行動をしました。特に公明党や民主党の人によく考えていただきたいと願っているのですが、うれしかったのは公明党の人も出てきて請願を受け取ってくれたことです。閉会の辞でも「今日をきっかけにこれからやっていきましょう」と確認しました。

 いま何かしなくてはと思っている人がたくさんいるので、そういう人たちの声をつなぐ役割を各地で果たしていきたいし、地方自治体に働きかけることもこれまで以上にやっていきたいと思います。

 

―これからどんな平和運動をしていきますか

鈴木 後の時代に、「その時何をしていたの」と言われたとき自分なりに精いっぱいしていたということを言いたい。それと外国の女性、特に戦前に侵略戦争を仕掛け、戦後も経済的に踏みつけにした国の人たちがこのごろ日本はまた怖い、と言う。歴史と外国の友達のまなざしに耐えるものでありたいと思ってそういう計画を立てています。

 「平和を実現する人びとは幸いである」という聖書の言葉がありますが、一つひとつ日常的な取り組みを通じて平和と公平な社会づくりを進めていきたいと思います。広い意味での平和教育、人間が人間であるような平和教育なども大切です。


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