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福岡、神奈川県知事選予定候補対談

山本予定候補中村予定候補に熱烈な支持を訴える

山本 正治 県知事予定候補(党関東地方委員長)
中村 哲郎 県知事予定候補(党福岡県副委員長) 聞き手・編集部


 第十四回統一地方選挙の前半戦となる都道府県知事選挙が、来る三月二十五日に告示される。地方経済危機が深まるなか争われる重要な選挙戦に、わが党は、神奈川、福岡の両県で党公認候補を立てて闘う。選挙直前に予定候補の山本正治同志、中村哲郎同志に対談をお願いし、抱負などを聞いた。


 ――今日は、お忙しい中ありがとうございます。すでに立候補を表明されていますが、その後の動きや反応などからお話ください。

中村 県政についての評価や私の県政政策を表明し、自治体や商工業者をまわっている。また、失業者アンケートにこたえてくれた方を訪ねている。

 こうした中で感じること、つまり麻生県政を一言でいえば、こうした情勢のもとで苦しめられている人びとにとって冷たい県政ということだ。

 知事は通産省出身だから、地域経済の振興や活性化について、特に周辺自治体の首長からは期待があった。しかし、首長たちからは「期待が裏切られた」という声が出てくる。特に筑豊は三年後に石炭六法が切れるので、このまま進めば「第二の閉山」といわれる深刻な事態が迫っており、筑豊のある首長は怒りに満ちた言葉でそう言っている。

 昨年から行っている失業者アンケートは、今年になってからの返事は深刻さを増している。何らかの救済措置を求めており、切実感が強まっている。もちろん労働党に期待する声も増え、事務所に直接電話をかけてくる人も増えている。

 もう一つ、地域振興券の問題がある。福岡県で百三十七万人が支給の対象になる。印刷経費、事務経費含めて約三百億円の金が落ちるが、このまま放置すれば、大型店にもっていかれる。そこで、県の商店街振興組合を訪ね、地元商店街で使うように県民世論を盛り上げることを話した。また、そうしたことで県や各市町村への申し入れなどを行ってきた。これらは商店街の方からはたいへん喜ばれた。地元商店街の振興は町づくりでもありますから、自治労、教組、全逓などの労働組合にも、町づくりの角度から商店街の動きに対して、組合で討議し、商店街のポスターなどに協力したらどうかと訴えてきた。

怒りを結集して新たな県政を

山本 労働者はもちろんだが、各界のなかに今の政治に対する激しい怒りがある。それが今の情勢の特徴であり、非常に実感している。「労働者はもちろん」と言ったのは、従来の保守層の基盤となってきた商店もそうだし、商工業者もあるいは会社を経営する人たちも含めて、これまで通りではやっていけない、という怒りがある。

 今回の選挙は、都知事選挙はその象徴ですが、闘う前から自民党は崩れていく状況が出ている。非常に特徴的な結果が出てくる条件、可能性があると思う。

 リストラでは、県下に拠点工場をもつ日本鋼管(NKK)、NECなど次々に出てきており、地域経済にたいへんな影響があるが、与野党を問わずどこも対応できていない。「傍観している」という怒りの声が地場の中小企業の経営者から出ている。

 先ほど福岡から出された地域振興券問題に関連してだが、川崎市や横浜市をみていると、いうところの商店街は疲弊しきっている。工場が出ていった跡地に大型店がどんどん進出している。これはみんな認めているが「野放しのせいじゃないか」。そして不況でお客さんがどんどん減っている。みなお手上げ状態になっている。

 地域振興券問題を契機にして、もう一度商店街にお客さんを呼び戻す、そういう意欲的な動きが商店街で始まっている。厳しさもあるが、新しい芽も出てきたと感じる。そこに注目すべきだ。商店街を重視した町づくりを、新しい地方政治も含めて、彼らと議論しながら進めたい。やりがい、手ごたえを感じている。

相乗り知事の県政はすでに破たん

 ――前回も立候補されて、この四年間の変化を感じていると思いますが、その点はいかがでしょうか。

山本 神奈川県は不況というだけでなくこの間の県政の結果、各方面で危機にある。岡崎県政を暴露するとともに、これを二十一世紀に向けて再建することを大きな柱として訴えている。神奈川では四つの危機があると指摘できる。

 一つは経済危機だけでなく産業空洞化の危機。NKK、NEC、東芝が神奈川の製造業の中心だが、それらがラインを半分にするとか、廃止するとかいっている。これらを京浜の中小企業、技能技術をもった労働者が支えてきたが、そうした中小企業の仕事がなくなり、追い出される。地域経済の危機です。

 それに結びついてだが、二番目に県民の生活や営業の危機、雇用の危機。神奈川県の有効求人倍率は、沖縄、青森についでビリから三番目。だから失業率も高い。商店街の閉店率も、川崎などは三年間で一〇%になっている。

 いうまでもなく、三つ目は県財政危機です。そしてこれを解決すべき政治の腐敗。昨年には県営水道をめぐって自民党と公明党の二人の県議が汚職で逮捕された。新聞記者にもいったが、逮捕も異例だが、知事も何らの措置も取らない。議会も究明するなどの措置を取ろうとしない。そのことの方が驚きだ。

 私が二十年来、批判してきた相乗り県政が、経済危機や財政危機に現れているが、これは責任を取ろうとしない知事とオール与党体制の県議会によってつくりだされている。

これら全体として二十一世紀の神奈川を考えると、県政を転換していくしか展望がないと訴えている。これは、県民の怒りを結集して打開する問題提起になっていると思う。

中村 最近のマスコミの論調をみると、相乗り批判を争点にしようとしている。それもそうだが、より大事なことは、県政が誰のためのものかということをきちんとすることだ。

 この二十年間の県経済の推移を生産、利益、所得の面から調べてみた。すると、いちばん生産の伸びが大きいのが不動産業。七五年からみると約五倍になっている。

 さらに、どの産業が潤ってきたのかをみるとはっきりする。

 一つは製造業だ。バブルが崩壊して以降、利益が減っているが、それでも二番目の利益を確保している。他方で労働者がリストラで工場を追われ、賃金が抑えられている中、大企業を中心に企業は利益を確保している。

不動産業は、これは右肩上がりで一貫して伸ばしている。これが、一つの特徴だと思う。

一方、二十年間ほとんど動きがないものが、鉱業と農林水産業であり、農林水産業は二十年前以下の生産、所得の水準になっている。

山本 福岡でも出たが、不動産業が伸びている問題。旭ガラスが横浜工場を閉鎖すると決めた。すると株価がたちどころに一七%くらい上がった。工場を閉鎖し、労働者や下請け企業を追い出すと株価が上がる。これは閉鎖する工場の跡地の利用価値が上がる。それで株価が上がっている。

 結局、いまの神奈川県政は、道路とか鉄道、あるいは下水道など跡地利用のための基盤整備を行うことに膨大な財政が投入されている。たとえば県内いたるところでNKKと三菱地所といっしょになったマンション建設の看板がある。NKKの経営者からすれば、まだ大量の土地があるから、もっともうけようとする。

 リストラが急速に進み、地域経済や労働者、下請け業者が犠牲になっているが、それに自治体が率先して加担している。この政治の真の性格、利害関係についてできるだけ暴露し、人びとの自覚と各層を超えた地方政治を変えるための連携した闘いを促すことが重要だ。

 そして、どこでもそうだろうが、九二、三年ごろから急速に単独事業が増えて、そのために地方債の発行が増えたのは、それぞれの地域でのボスたちの必要さであったが、それだけではない。

 日米構造協議で六百三十兆円という公共事業が、日本の必要性からではなく、米国発で問題が立てられてた。それが地域のひとにぎりの連中のために使われた。たとえば、東京湾横断道路がつくられたが完成しても、通行量は目標の半分以下でたいへんな赤字になっている。結局、千葉の新日鉄のために、鹿島建設が設計施工してできたもので、彼らにとっては利益になっているが。膨大な負債が何十年にもわたって国民にしわ寄せされる。

――共産党の「ゼネコン悪玉論」は、敵を誰だか明らかにしないものになっていますね。

山本 共産党は、「ゼネコンのムダ」としか言わない。神奈川県では「みなとみらい(MM)」にしても、「ムダ」しか言わない。

 ところがMMは、もともと三菱の造船所跡地にプラスして横浜市が膨大な埋め立てをしてできたものだ。いま、三菱のもっていた土地にはランドマーク・タワーからなんでもできている。この土地は三菱にすれば「金のなる木」でどんどん利益を上げている。さらに地下鉄もつくっているので、土地全体の価値は上がる。

 しかし、これを成功させるために横浜市は、この三菱の土地の周辺を埋め立てたが、そこは、ペンペン草がはえ、利子ばかりが出ていっている。三菱は丸もうけし、住民には膨大な財政負担だけが残った。

 しかも、商店街からすればMM内の大型店にお客さんを取られ、毎日ため息をついて、怒りに燃えている。共産党がこの実態を暴露し、住民の怒りを組織できるのかといえば、できない。誰のためにという問題、肝心なところを抜きにしているからだ。

 共産党が地方政策を出したが、教育問題では校舎が古いとかトイレが臭いとかを問題にしている。こんにちの教育問題で校舎がボロボロだということが、本質ではない。社会自身の矛盾の反映だし、直接的には管理教育などが今の学級崩壊などに出ている。そこに焦点をあてずに、ボロボロ校舎、臭いトイレを問題にしている。

 確かに、自民党から崩れてくる保守層の一部にごく月並みな政党だと印象づけたいのだろうが、その人びとからみても、相当に立ち遅れた政党に映っているだろう。

中村 九州は、関東、関西と比較して社会基盤の整備が相当に立ち遅れている。だから、九州財界も含めて早急に整備してほしいという要求がある。

県内の建設業は、この二十年間多少のでこぼこはあるが、九四、五年はマイナスになっている。県内の建設業に限っていえば、いわれるような意味でボロもうけしているのかといえば、決してそういう状況ではない。

 自民党は昨年の参院選で特に大都市部で惨敗となった。それを受けて地方に対する公共事業、整備を切り捨て、大都市中心の効率的な投資というか、配分の見直しを進めており、これに対する地方の不満、反発は大きい。国が最低限やるべきことも含めた社会基盤整備は当然やるべきで、共産党とはこの点で違う。

 福岡では特に中山間地を中心に公共事業が町の基幹産業というところもある。経済的自立を目指すそうした市町村の努力への支援を、放置してきた国や県の責任こそ問われるべきだ。

モノづくり再生で神奈川の再建を

 ――政策の基本的な考え方、県民のそれに対する反応などお話し願えればと思います。

山本 今の県政というのは一言でいって、いくつかの大企業が、製造工場を廃棄して海外に工場を移していくのを支援し、企業が跡地をより高付加価値に利用するための基盤整備を進めている。

 しかも、大都市、臨海部に集中的に財政が投入されることで、周辺地域は後回しされた。この十年くらい若干は財政が中西部に投入されたが、たとえば宮ケ瀬ダムのように大規模なダムをつくって、水を延々と導水路でもって京浜に運んでくる。決して中西部の発展のためにつくられたわけじゃない。そういう点で周辺地域に不満が渦巻いている。

 政策的に一つは、モノづくりの産業をもう一度復活させる。京浜のモノづくり産業は中小企業と労働者に技術が蓄積されているわけですから、これらを大切にしながら、新しい二十一世紀型の製造業を興していく。

 どんな産業分野かというと、ハイテクもあるが、それだけではない。人間の機能を補完する器具など高齢社会を迎えて重要になる。きのうも工業団地の会長から、「技能があるからもっと素晴らしい車椅子を開発しよう」と言ったら、技能をもった連中が集まって「やりましょう」ということになったという話を聞いた。首都圏には数千万人の膨大な消費需要があるわけで、これにこたえられる製造業ということを考えてみると、二十一世紀の神奈川のモノづくり産業の再建は大きな展望がある。

 あわせて、これからどうしてもアジアの共生は二十一世紀の日本が発展する、生きる道だ。アジアのネットワークの交流拠点として技術を蓄積した京浜地域は、重要な役割を果たすことはできる。

 そのためには中小企業やとくに労働者を大切にする、ということが一番肝心でしょう。この方向はゼンキン連合、金属機械労組の皆さんがまもなく国会で「モノづくり基本法」案を通そうと努力されていますが、この方向を神奈川県で率先してやっていくということになると思います。その中で、たとえば教育の方面でも、モノづくりを大切にする、専門高校を重視するなど、社会の全体、政治の全体として重視することがまず基本です。モノづくりを重視する県の基本条例をつくって、県是としてきちんとしたうえで、いろいろな方面に手をうっていく。

 あわせて県の開発政策にしても東京をサポートする横浜一極集中ではなく、全県がバランスよく発展する分散型の開発政策に切り替える。相模原など中北部地域から足柄平野、西部地域全体が道路交通部門などの整備も含め、この方面に重点的な開発を進めることで、そういう方向をサポートする開発政策に切り替える必要がある。

 それから神奈川の場合は、どうしても基地の問題。今度こそ基地の撤去を明確に掲げた県政、それはもちろん日米安保、新ガイドラインに反対。周辺事態法が通ったとしても、それを拒否する県政。高知県の橋本知事のような保守的な知事でさえ非核の証明がなければ核艦船を入港させないという条例を提案するという状況ですから、ほんとに基地のない平和な、新ガイドラインや周辺事態法を認めない県政を実現したい。

 そのような産業経済政策、開発政策、基地の問題を前提にしながら、いまとくに福祉問題が非常に重要になっているが、財政危機の中で老人福祉施設、とくに特別養護老人ホームに対する県の補助金カット、県の福祉施設を民営化することが検討されているが、こういうのを止めるのはもちろんだ。福祉を重視させるとか、全体として国民生活を向上させるようなことをもう一つの重要な政策としたい。

 だいたいその四点ぐらいを政策の柱にしながらやっていきたい。

福岡一極集中を廃しバランスある発展を

中村 福岡はスローガンでいうと「変えます。福岡への一極集中政策」「つくります。分散型の県土ネットワーク」「大切にします。中小企業者や農業者の経営」「急ぎます。失業者への仕事の確保と生活支援」「共に生きる。アジアの平和と発展」。そういうスローガンをかかげて闘う。

 九州は最もアジアに近く、地理的にも文化的にも歴史的にも結びつきが深い。特に八〇年代に入って以降は、アジアが急成長してきた。その中で本土からみれば九州ないし福岡がアジア進出の拠点と位置づけられ、福岡大都市圏を形成していくことは、中央資本の政策、国策ともなった。九州財界はその政策と結びついて、福岡の土地開発を進めてきた。そこで福岡へヒト、モノ、カネの一極集中が進められた。その結果、県土にさまざまな矛盾、ひずみをもたらすこととなった。そして生産や所得の産業間格差、地域格差が広がった。

 大都市集中政策からの転換を第一にかかげる、というのが私の基本になっている。

県経済をみた場合、事業所数や就業者数という点から見ると、中小企業の占める割合は事業所数の九九%近くありますし、就業者数でも八〇数%です。いわばここが、県経済の主要な担い手であるといえるのです。ここが不況の中で売り上げが平均で三割くらい減少している。したがって、ここへの支援策、地場中小や卸小売業も含めてそれに対する支援策をとるのは急務だ。

 県南での経済的疲へいに加え、北九州でも、大手製造業でリストラが次々に進められ、また計画されていている。労働者が街頭に放り出されるということですから、失業者の生活危機打開はきわめて重要な課題になっている。

 失業者の仕事の確保と生活支援は県政の中でも大きな課題になる。失業者のために無利子、無担保の長期生活資金の貸付制度の創設や失業期間中の県民税などの減免措置なども具体的に行うべきだ。あるいは医療費負担だとか各市町村が行う失業者への住民税、健康保険への減免措置に対する県としての支援も、緊急の施策として欠かせない問題である。

 それとアジアと共に生きていくという点では、人的交流が大事な要素である。本当にアジアとの交流を進めていこうとすれば、留学生の生活面も含めた諸制度の整備ということを、積極的に進めるべきではないかと思っているところです。

 それと先ほど非核証明の問題が出ましたが、周辺事態法に対し明確に自治体の意思として拒否する。そういう県政を目指さなければアジアと共に発展するといっても空文句に終わる。

大企業につぎ込んだ県財政
責任は大企業が取れ

山本 県は、このままでは赤字再建団体に転落するというが、これはある意味で実務の問題でしかない。われわれがいっているのは県の財政が公共事業にどんどんつぎ込まれた結果、借金が膨れ上がって財政の運営が非常にむずかしくなっている。この借金をどうやって返すのか。もちろん県民の負担に押しつけるわけだが、それでよいのか。

 しかも岡崎知事は、今後一兆二千億円ほど借金をしてさらに事業を続ける。ところが岡崎知事はそのことが問題ではなく、県民に税金で押しつければよい、と思っている。われわれはこの県債の発行と、この借金を誰の負担で返すのかを問題にしている。

 岡崎知事は、福祉や教育、医療予算など一般経常経費を三割減らす。さらに県の公務員の定数を削減することと賃金を減らす、ということですから筋が違う。

 県は特定の企業利益のためにこれらの開発予算を使ったわけだが、ゼネコンもいくらかはもうけたが、もっと大もうけをしたやつがいっぱいいる。この問題をきちんと暴露したい。

 もう一つは、それでも国との関係のなかで、真の地方自治、財政主権の確立のために地方自治体が結束して国と真正面から対決することが必要だ。そういう世論をつくるのも今回の知事選とその結果できあがる県政の大きな役割だと思う。

中村 福岡県でみても、かなり借金して事業を行う。税収は減ってきている。そういうもとで福岡の場合は経常収支比率が九七%で、県財政の硬直化率というのが進んでいる。財政力がなくなっていると盛んにいわれる。

 先ほども山本さんが言ったように、こんにちの財政危機の本質といいますか、共産党もそうですが国が押しつけたという。これは確かにその通りです。国と地方の財政の配分を見直して、もう少し地方に税配分を増やせという。これはこれで必要なことだと思うんです。

 しかし、国が景気対策として県に単独事業を借金してもやれと押しつけてきたが、それに対してどういう態度をとるのかという問題が一つある。無批判に国の要求に追随した責任はあいまいにすべきではない。

 大事なことは財政がどこに使われてきた結果、県の財政が悪化したのかが問題だ。したがって中身に立ち入らないと本当の意味での財政再建の方向というのは出てこない。ですから福岡の場合は確かに国の景気対策で負担が増えたという面もありますけど、やはり大都市中心の開発政策に膨大な県の予算をつぎ込んできた結果だということをきちんとすべきだ。

――それでは最後にいよいよ三月二十五日から知事選挙が始まりますが、選挙戦をどのように闘おうとするのか。考え方や具体的な闘い方について伺いたいと思います。

山本 中心は政策を宣伝することでしょうが。この間やってきたのは失業者の要求をできるだけ引き出して組織して、行政に突きつけて一つひとつ解決していく活動。労働者のリストラ問題も取り上げて、生活と権利を守る行動が、失業者をはじめ労働者を支援するようにさせる。それから深刻ではあるが商業者に意欲が出てきている。この地域の商業者の問題。とくに大店法がなくなった下で、大型店出店を行政の力で止め、商店街中心に町づくりをすすめる。引き続き、これらの具体的な要求をとりあげて闘いに組織していく活動を重視したいと思う。

 とくに今回重視したいもう一つはのことは、幅広い県内の各層の連携に心をくばり、新しい神奈川の方向を切り開いていきたい。全体的に県政を変えることを訴えて闘いたいと、そんなふうに考えております。

中村 昨年から先ほど言ったように大牟田での閉山問題、久留米でのアサヒコーポの倒産問題、大川家具工業界の不況問題というなかでたいへんな失業者が生み出されてきている。大牟田のネイブルランドは、閉山後の地域振興策の切り札とされた。それがわずか三年半で閉園に追い込まれ、市民には膨大な借金のツケが押しつけられることになった。

 もう一つ、北九州でも地域経済活性化の目玉だったアジアインポートマートが、ヤオハンの倒産で行き詰まり、家具小売店を中心に、地元の小売り商店を圧迫する結果に終わった。先の北九州市長選挙では、末吉市政の失政に対する厳しい批判が起こった。福岡でも大規模土地開発を進めた桑原市政が市民の批判を浴びて打ち倒された。そのことは麻生県政の大都市中心の政策の行き詰まりを端的に示すものだ。

 第一に、大企業中心、自民党中心の県政から、県民の手に県政を取り戻し、大都市中心の政策から、周辺自治体や農山村、弱者への気くばりのある県政にしたい。

 北九州を中心に次から次へとリストラが計画されて、失業者が吐き出されてくるということですから、働く人たちの役に立つ党、労働者から信頼されるということは、こうした情勢を考えれば非常に重要な意味をもつと確信している。

 大型店の進出で中小小売店がつぶされる。コメの関税化で農家は立ち行かなくなる。失業者や労働者の生活危機打開、中小業者や農民の営業危機打開のために全力をあげたい。

 県といっても九十七市町村で構成されている。それぞれ産業構造も違えば、人口の大小もあっていろんな違いがあるわけですが、福岡の場合どうしても福岡都市圏が発展して他の地域との格差が広がっている。そこで深刻に周辺自治体の首長さんたちも地域の振興や活性化ということでさまざまな努力をされているわけですが、なにせ県がそれらに気くばりをする県政ではないものですから、そういう皆さんと力を合わせて県土の均衡ある発展をとげるような努力をしてみたいと思っています。

 目前の効率性から脱却して、もう少し長期的視野に立って一次、二次、三次産業のバランスをとるとか、一次産業に対する支援を強めて農業や林業でも生活が維持できる、食っていけるという県政に転換すべきではないか。そういうことを広く訴えて支持を呼びかけ、そういう県政を実現したい。

 本日はどうもありがとうございました。


労働党・中村哲郎さんに期待する

福岡県牛乳商業組合が推薦決定

●私の父親は炭鉱を首になり、会社からもボロ雑巾のように捨てられました。中村さんも炭鉱街で育ったと聞き、親しみを感じています。庶民の心がわかる血の通った県知事になってください。(大牟田市、女性)

●私の夫はゴム関係の職場で、アサヒ靴で働いていた友人もいます。アサヒ靴の合理化の問題で労働党のチラシを見ました。一生懸命会社のために働いたのに、会社のやり方には納得がいかない、退職金もまだ全部もらっていない、くやしいと友人は話していました。労働党はそのような気持ちをチラシに書いてくれました。ありがとうございました。(久留米市、女性)

●現知事には地元の活性化を期待していましたが、県内の市町村民の声を聞くよりも国のほうに目を向けているので、今はまったく裏切られた思いです。中村さんの再挑戦には期待しています。(嘉穂郡、男性)

●小さな町に大型スーパーが3軒もでき、激しい競争をしています。私は電気店を細々とやっていますが、駅前にあった商店街は壊滅しました。中村さんは地域振興券の問題で商店を守る立場から県に要請されたそうですが、やはり行政の指導はとても大事なことです。弱いものの立場にたった県知事を望んでいます。(田川郡、男性)

●田舎の村には宣伝カーもまわってきません。4年前の選挙で中村さんが来て、田んぼの中で演説していたのを覚えています。県知事は農家の声も聞いてください。

●ハローワークの前でチラシを受け取ったのがきっかけで、高い国民保険料に頭を痛めていたので、中村さんに相談にのってもらいました。どこにも相談するところがなかったので、労働党の中村さんにはとても感謝しています。(北九州市、男性)

労働党・山本正治さんに期待する

◎私はいつも山本さんに投票しています。がんばってくださいね。(自動車部品・労働組合書記)

◎自分たちは今も、昔の機械の一部のようになっていますが、昔はそれでも自分たちに潤滑油を与える余裕があったし、モノをつくる楽しみや誇りがあった。先日のJAM連合の「モノづくりシンポ」はたいへん勉強になった。労働党のこの見解はその通りだと思います。(自動車部品・労働組合役員)

◎モノづくりをしない米国はそのうち沈没するよ。日本もそうなってしまう。モノづくりが社会の基本です。山本さんのおっしゃる通りだ。(工業団地組合・事務局長)

◎ 弱い立場に立つのが、ここの商工会議所の役目だと思っています。モノづくりの産業を活発にすることができなければ、地域社会が活性化することはあり得ない。山本さんの言われるとおりです。表だって行動することはできませんが、声援を送っています。演説のときにも私たちの実情を訴えてください。(商工会議所役員)

◎政治家は自分の意見をいうだけで私たちの話はほとんど聞かずに、時間がないからと言って帰る。呼びかけて集めますので、山本さん、ぜひ私たちの実情を聞いてください。(工業会会長)

◎政策を読んで、「これはよい」と共感を覚えた。大企業はひどすぎます。地方にもっと活気が出て、そこに住んでいる人たちが暮らしやすい町づくりをのぞんでいます。政策で「周辺地域の活性化で神奈川再生、大都市問題は分散政策で解決」と触れているところもいいですね。また、「アジアとの共生で発展する神奈川」のくだりを読んで、「これなんだよ、これなんだよな」と共鳴しました。(横浜市・会社社長)

◎山本様のご意見に賛成です。小売業の味方になってがんばってください。振興券の件、2度3度発行も賛成します。小売業40日間、スーパー20日間がよいと思います。今後ともよろしくご指導ください。商店街発展のために。(川崎市・商店街会長)


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