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これでいいのか介護保険



強行されれば混乱は必至

全国町村会会長 黒澤 丈夫

 公的介護保険の保険者になる町村にとって、大きな問題がある。たとえば、保険料を年金から天引きするというが、年金の中には法律で天引きしてはならないものもある。

 また、ごく貧しい人からどうやって保険料を徴収するのか。福祉年金の人は月に三万円ほどしか収入がない。暮らすことさえ十分でない人からどうやって徴収するのか。

 また、市町村で介護認定の審査をすることになっているが、住民を認定するするのは人情がからんで非常にやりにくい。公正公平にやろうとしても、日頃選挙などでお世話になっていればそうもいかない、などということが起きる可能性もある。やはり都道府県の方が権威もあるし、公正公平をめざすなら県でやるべきだ。

 保険料も半分は公費で、二五%は国、残りの二五%が市町村となっている。しかし、自治体の財政力の違いが大きい。調整財源もいわれているが、調整にかかる費用の問題もある。特に町村はただでさえ財政が苦しいのに、介護保険で赤字になったらどうするのか。

 また、保険料が月額二千五百円でやれると思っている自治体は一つもない。はじめから成り立たない保険だ。しかも、市町村の声も聞かずにどんどん進めようとしており、町村会ではこれではたまらないと昨年十月に要望書を出した。

いずれにしても、介護保険は問題が多すぎるのに、保険導入を強行するのはおかしい。

 しかも自治体の問題だけでなく、介護を受ける人、福祉の施設長、そこで働く人などにも数多くの問題がある。実際に強行されれば、もっと問題が出てくるだろう。

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