970625


沖縄(ぼくのふるさと)について知ってほしい

大学で「沖縄展」開催

福岡大学4年・當山正義さんに聞く


 沖縄の現状や歴史、文化を紹介する「沖縄展」が六月十六日から四日間、福岡市の福岡大学において学生の主催で開かれた。これは昨年の秋、全国十三大学で開催された「沖縄の米軍・全国写真展」に引き続き沖縄情報センター(準)が呼びかけたもので、長崎や熊本、福岡県の他の大学などでも準備されている「沖縄・全九州写真展」の第一弾として開催された。福岡大学「沖縄展」を主催した「いちゃりばちょうでい会」代表の當山正義さん(福岡大経済学部四年、恩納村出身)に写真展開催の経過や、沖縄出身者としての思いなどを聞いた。


 今回の企画を取り組んだ動機は何ですか。
 まず、沖縄について関心を持ってもらいたかった、ということが一番にあります。「沖縄」はここ最近は「基地問題」をマスコミに取り上げられていましたが、学生にもっと身近に感じてほしかったんです。
 六月二十三日の「慰霊の日」の直前の開催となりましたが。
 八月六日や九日がどういう日か本土の人なら誰でも知っていても、六月二十三日のことを知っている人は少ないのではないでしょうか。沖縄にとっては、沖縄戦で日本軍が組織的抵抗をやめた、メモリアルな日なのです。学校もこの日は休みになるので、沖縄出身の人なら誰でも当然知っているわけですよ。ですから、このことを知ってもらおうという意味も含めてこの時期に開催したんです。

 具体的には、沖縄戦や基地問題など沖縄の現状を伝える写真パネルを学内のギャラリーに展示しました。これは沖縄県の福岡事務所から借りたものです。写真はアメリカの占領下におかれていた時のものや復帰前後のものなどがあり、普段あまり見ることのない風景に、じっくり見入る人もたくさんいました。また、宜野湾市出身の石川真昭九州芸工大助教授に講演していただき、歴史を見ても琉球・沖縄は「自立」することが可能なこと、それをじゃましているのが、日本の外交であり、法律なんだと、ウチナーグチ(沖縄言葉)を交えて僕たち学生に対して熱心に語ってもらいました。

 ただこれだけではちょっと「かたい」と思ったので 、エイサーを踊ったり、沖縄空手愛好会の人たちに演舞を披露してもらったり、学生が関心をもちやすいように工夫しました。「訴える」というより「分かってもらいたい」という気持ちでした。エイサーや空手は野外の広場でやったんですが、人だかりができました。やはり「楽しい」「ぱっとみてわかる」ということからのアプローチが大事だなと思いました。

 エイサーはスタッフの皆さん自身で踊られたようですが。
 はい、そうなんです。今回の企画が話にのぼってから、沖縄出身者を中心に練習を始めたんです。みんな福岡に来てからは踊ったことがなかったんですが、沖縄にいるときはだいたい経験はあるんですよね。ただ、エイサーは沖縄各地でいろいろなスタイルがあります。なんせ八月には「全島エイサー祭り」があるくらいですから。だから今回はとりあえず、僕の故郷のスタイルにあわせました。練習も、直前は連日夜遅くまでやりました。みんなアルバイトやサークルもあり、練習の時に集まるのはなかなか大変だったんですが、当日は十五人で披露できました。一緒に踊ったメンバーはみんな楽しかったと言ってますし、友人からも「かっこよかったね。おれも加わらせて」と言われてます。秋の学園祭の時も踊ろうか、という話もでています。中には「来年の博多どんたくへの出場をめざそう」なんて言っている人もいます(笑)。「沖縄」を訴えるのなら、エイサーは絶対披露すべきですね。
 衣装や道具はどうしたんですか。
 私たちは何も持っていなかったので、他の大学の沖縄県人会から借りました。三線は練習の時はテープでやりましたが、本番は福岡で教室を持っておられる先生に生で演奏してもらいました。福岡・沖縄県人会の方々には、いろいろとほん走していただきました。本当にみなさんの協力がなかったらできなかったですね。今後は、自分たちで道具をそろえようかとも思っています。
 基地問題についてはどう思いますか。
 マスコミは話題性だけで沖縄を取り上げているように思います。沖縄の人びとは単に「反対」といっているわけではありません。そこには複雑な心境があるわけです。苦しんでいるのです。 本土の人がそういった事情をどれだけ理解しているのか。福岡にやってきて本土の学生と話をしたときにそんなことも感じました。そのすき間を埋めるのに今回の企画が役だてればと思っています。
 主催した「いちゃりばちょうでい会」について聞かせて下さい。
 「いちゃりばちょうでい会」は、今回の企画をきっかけに結成しました。福岡大には沖縄出身者は多いんですが、県人会としての集まりはほとんどなかったんです。そんな時に今回の企画の話を他大学の人から持ちかけられて、これを材料にして集まりをもてるんじゃないかと思ったんです。沖縄出身者だけでなく、本土の人でも「沖縄好き」ならどんどん参加してもらおうと、名前を「いちゃりばちょうでい」会としました。沖縄の言葉で「一度会ったらみんな兄弟」という沖縄人の心を示しています。口コミでどんどん輪が大きくなっていきました。これからも会のメンバーを増やして、来年以降も取り組みを続けていきたいと思っています。ただ自分ももう四年なので、学内で直接あれこれできませんが、他のみんながやる気になるようにサポートしていきたいですね。
 ありがとうございました。みなさんの奮闘に期待しています。

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