970625


日中国交回復25周年

両国は一衣帯水、兄弟のごとく

諸問題は「さざ波」にすぎない
長期の関係発展を

日中友好議員連盟・林 義郎会長に聞く


 日中友好議員連盟は、林義郎会長を団長に二見伸明副会長、町村信孝幹事長など十五人の訪中団を五月三日から派遣した。日中議連としては三年ぶりの訪中である。一連の会談の中で双方は、日中共同声明や平和友好条約が日中関係の基礎であり、両国の長期にわたる友好関係発展の必要性を確認した。訪中の成果や今後の日中関係のあり方などについて、林義郎会長に聞いた。


  日中議連は五月三日から五日間、十五人で訪中し、江沢民国家主席や喬石全国人民代表大会常務委員長などと会談した。日中議連としては、昨年の総選挙で議連が新しい体制になったことと日中国交回復二十五周年の事業として訪中した。日中議連は超党派で形成しているが、今回の訪中には希望者が多く、若い世代を中心に各党のバランスをとった訪中団となった。

 昨年は日中間にさまざまな問題があったので、今回の訪中ではその点が議論になった。日中間の問題は「さざ波」にすぎず、日中関係は長期にわたって発展させなければならないとお互いに確認し合った。

 尖閣諸島の問題について、 小平氏が日本に来たときに「(領土問題は)当面たな上げし、二十一世紀に解決しよう」と言われた。しかし、いつまでも放置してよいとは思わないので、平和的な解決方法がないかと今回の訪中で議論した。五月六日に新進党の議員が尖閣諸島に上陸した。ちょうどその日の午後に江沢民国家主席と会った。

 中国側からは「日中関係は過去三千年の歴史を考えてやらなくてはならない。過去五十年には日中に不幸な歴史があった。それは五十年のことで、その前の五十年、百年はどうか、とみるべきだ。もっといえば阿倍仲麻呂の頃からの歴史がある。過去の歴史を踏まえてこれからの日中関係の発展を考えるべきでしょう」と言われた。

 いずれにしても平和的な解決方法を今後も議論していくことが大事だ。

 歴史認識問題は重要で、過去に侵略の歴史があるという現実は認め、率直に謝罪すべきだ。従軍慰安婦問題でも、何よりも当時、日本の植民地であったという客観的状況を踏まえるべきで、あまり個々のことは調べようがないだろう。

香港返還をよろこぶ

 香港返還は、中国にとってたいへんよろこばしいことである。香港の九十九年の歴史は中国にとって屈辱の歴史であったと中国側は発言していたが、私も同じアジア人として屈辱だと思うし、中国が長い間、よく辛抱したと高く評価する。日本も悪くすれば、(明治維新の頃)香港と同じような運命をたどっていたかもしれない。

 これから一国二制度という新しい体制のもとで、中国は世界に出ていく。中国は香港の経済的メリットを十分理解しているし、そのままの方が当面、中国の改革・開放にとっても役にたつだろう。

 中国は香港返還によって貿易市場だけでなく、金融市場もつくっていくことになる。日本は協力しアジアの国際金融市場をつくっていくべきだ。

 また米国の問題だが、米国はときどき中国にあれこれ注文をつけている。だが、今度のサミットではロシアが参加し、同時に開催される蔵相・中央銀行総裁会議(G7)はG8になる。G8の次はG9、当然中国の参加が問題になる。中国をはずして世界のサミットとはいえないだろう。中国のサミット加盟問題では、誰が要請するかだが、日本がサミットのなかで積極的に働きかけていくべきだ。

中国の経済発展に協力を

 日中議連としては、今回の訪中だけではなく、民間の活動などを支援していくことを考えている。

 特に中国は改革・開放政策をとっているので、日本も世界的規模で考えた方がよい。例えば、日本企業は中国にずいぶんと進出しているが、もっと進出すべきだ。そして日本の労働者が中国で技術指導や管理指導などを行うべきではないか。日本にはまだ高度な技術があるので、それを中国に伝えることで発展に貢献すればよい。そうすることが世界の経済発展に役立つ。

 また財政構造改革でODA(政府開発援助)予算は、削減されそうだが、中国については大事なので円借款が削減されないように働きかけていく。中国の経済発展にとって、技術協力や資金協力など民間がもっとやっていく時代だ。以前のように中国の経済水準がまだ低い頃は別だが、もう中国の経済水準も上がっている。金を貸しても、事業を起こして金を返せるような経済力がある。民間の投資が大事だ。

 国民のみなさんには、日中は一衣帯水の関係として、兄弟のごとくやっていくことが大事だと訴えたい。


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