970515


さらに全国へ広げよう 沖縄・基地撤去の闘い

全国と沖縄が平和行進で連帯


 沖縄では現在、「5・15平和とくらしを守る憲法月間(沖縄ピースアクション)」が闘われている。五月十三日からは沖縄本島などを縦断する平和行進が行われ、十五日には県民総決起大会が開かれる。本来、今年の5・15は、沖縄本土復帰二十五周年として記念さるべき年なのに、米軍基地の変わらぬ実態を前に、県民にとっては橋本政権への怒りがつのるばかりである。県民の闘いは、やむことはない。橋本政権は四月に、米軍用地特別措置法改悪を強行したのち、日米首脳会談で日米防衛協力のための指針(ガイドライン)見直しをクリントン米大統領と確認し合った。米戦略のもとでの日米軍事協力強化を具体化する再確認である。しかし、この道は国内外のいっそうの反発を引き起こさざるを得ないであろう。中国をはじめアジアでの対日警戒心は強まっており、ヘリポート移転や実弾演習本土移転強行も、また「闘いの種をまく」ものとなる。引き続き沖縄県民の闘いは、安保破棄の政治的転換をめざす重要な柱である。特措法改悪強行にもかかわらず、沖縄県民は意気軒高である。全国でこの闘いと連帯し、押し広げなければならない。新垣善春・沖縄平和運動センター議長の新たな決意を紹介する。


怒りは倍加、情勢は有利

新垣 善春・沖縄平和運動センター議長


 米軍用地特別措置法は改悪されてしまったが、政府のやり方は、あまりにでたらめである。「法治国家」うんぬんを言いながら、勝手に法律をつくり変えてしまう。

 過去にもそういう例はいくらでもある。例えば、沖縄の本土復帰の七二年以来、土地収用委員会もへずに、公用地暫定使用法などの時限立法で十年間をしのいできた。

 三回目の収用から特措法を持ち出し、三回ほど強制使用した。今度は「暫定」という名を借りながら、政府が自由に半ば永久的に使用できるよう、法律をつくり変えてきた。復帰から今日まで、政府の一連の対応は全くでたらめなやり方である。県民は絶対に納得しない。

 特措法が成立したから、われわれがあきらめるかというとそうではなく、怒りはますます倍加してきた。五十年もの長い間闘ってきた以上、またこれまでも歯を食いしばってがんばってきた以上、これからもくじけたり、屈服することなく闘い続けようという決意でいるところだ。

 この闘いは単に沖縄だけの闘いに終わらせてはならない。全国に押し広げる必要がある。全国の皆さん一人ひとりが、自分たちの地域、職場で組織者となって、運動の全国化を図っていただくことを心から期待する。あちこちから呼ばれれば、沖縄平和運動センターは人を派遣して、集会や学習会に出かけたし、これからも闘いを広げるための努力を続けていきたい。

 当面、平和行進はできれば延べ一万人以上で行いたい。今月末に開かれる収用委員会では、政府のやり方をバクロしながら、意見陳述を通して国民に知らせる運動とする。

 さらに五月十六日には、全国それぞれの地域で課題を掲げながら皆がんばっているので、それをつないで「基地ネット」を結成する。そこで情報を交換しながら連携を図り、全国に広げる努力をする。

 沖縄の実弾演習の本土移転は、各地にまた新たな矛盾を生む。だから、闘いの種は防衛施設庁が全国にまいて歩いているようなものではないか。

 だから、闘いは一時的に特措法で押し切られたが、長いスパン(期間)で見れば、われわれの方が有利だという楽天的な気持ちでがんばっていこうと話し合っているところだ。


行進約2000人でスタート

本土からの参加は過去最高


 沖縄の第二十回平和行進は、各コース約六十キロメートルある本島三コースで五月十三日朝からスタートした。宮古、八重山の二コースも十五日に行われる。 

 行進出発の前日、十二日には結団式が行われ、新垣善春平和運動センター議長や山川勇副議長が主催者あいさつ。本土代表は小原達夫全水道組織部長や金居節夫自治労大阪府本部国民運動部長などが連帯を表明した。

 行進参加者は、「米軍基地撤去」「安保破棄」「特措法改悪糾弾」「米軍演習はやめろ」「ガイドラインの見直し反対」などのシュプレヒコールを続けた。沿道の人はこの行進に声援、手を振ってこたえた。

 十三日のスタートは全体で約二千人で、三日間で延べ一万人の参加がめどだという。本土からの参加者では、自治労大阪が約百三十人、全水道が約百人、他の大阪関係が百人の参加が目立った。

 東コースは名護市のキャンプ・シュワブから出発。ヘリポート建設予定地の監視住民を激励し、ヘリポート建設阻止協議会ともしばし交流した。

 南コースは途中で南部戦跡に寄り、平和資料館の宮良ルリさんが歓迎あいさつを行った。途中の休憩点では子供らが参加者にジュース配り、終点でも子供たちが「お疲れさまでした」の横断幕で歓迎した。


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