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労働新聞 2018年1月1日号 8面

統一戦線の観点、
労働者に広げたい

自主・平和・民主のための広範な国民連合・
山本 正治事務局長

 自主・平和・民主のための広範な国民連合は昨年秋、三重県で行われた全国総会で、山本正治氏を全国事務局長に選出した。世界が激動し、わが国の進路の転換の必要性が差し迫る中、今年の取り組みについて、山本氏に聞いた。(文責編集部)


ーー広範な国民連合全国総会が昨年十一月、三重県伊勢市で行われました。山本さんは事務局長に就任された、まずはおめでとうございます。

山本 責任の重さを痛感しているところです。どうぞよろしくお願いいたします。

──国民連合としては二年に一度の総会ですが、今総会の特徴や成果から、お話しいただけますか。
山本 今総会は、衰退した米国を引き受けたトランプ政権は、軍事力行使も含めて巻き返しを強引に進め、米中関係や戦争の危険も高まる朝鮮半島など、世界中の国々との矛盾が急速に激化しています。
 わが国では、戦後の自民党中心の対米従属政治が完全に限界にきたことはハッキリしています。しかし、これに代わるべき政治路線を持った政治勢力が見えません。「日米同盟強化」の道に代わる「平和と自主」というような対抗軸を持ち、国民の力を結集し国民運動を発展させる勢力が求められています。
 全国総会はこうした情勢の下で開かれました。
 結果ですが、まず、全国世話人や代議員、傍聴者など多くの仲間が参加してくれました。ありがとうございました。とくに地元三重県では中村進一・三重県議会議員(全国世話人)を中心とする現地実行委員会が大いに奮闘してくださった。直前に、労働党の県委員長を務められていた板倉重永・国民連合県世話人が亡くなり、どうなるかと心配されましたが、杞憂(きゆう)でした。実行委員会の皆さんの奮闘のおかげで、大変感謝しております。
 それはまた、生活の困難が深まり戦争の危険も含むような情勢で、特に総選挙の経過と結果にもあらわれていますが自民党に対抗すべき政治戦線は、混迷そのもの、人びとが方向と展望、闘いを求めている、そんな情勢があったからだとも思います。この情勢とわれわれの方向に確信を深めることができました。
 ご参加いただいた来賓の皆さん、それに全国から多数寄せられたメッセージ、協賛広告をはじめ総会への支援カンパも以前よりもずっと多かった。感謝しております。メッセージは、労働組合からも結構な数が寄せられましたし、しかも内容面でも通り一遍のものではなく、自分たちの要求・闘いと国民連合の運動とのかかわりに触れたものが多かったのも特徴だと思います。ここにもこの二年間の成果・前進が反映していたと思います。
 こうして広範な国民連合がこの総会で決めた方向を実現できる条件も目に見える形で示されたといえると思います。とくに、代表世話人に就任した角田義一氏(元参議院副議長)をはじめ、沖縄県議を辞任してうるま市長選に挑戦された山内末子氏、元JAM役員の小山正樹氏などが全国世話人となり、全国体制も強化されました。
 だから、参加された会員の皆さん、会員外の方も、総会に参加されて確信を深められたのではないかと考えています。

──日中友好協会会長で元駐中国大使の丹羽宇一郎氏(元伊藤忠商事会長)が記念講演を行い、好評だったと聞いています。

山本 丹羽さんは米国追随政治を批判するだけでなく、中国が台頭する新しい国際関係についての正しい認識の必要性を力説されました。同時に、米国の支配の下で日本の主権が奪われているが、そのことを政府与党はもちろん野党の政治家たちも語らないことを鋭く批判された。そして、「米中の大国間関係に巻き込まれず、挑発のグループに入らず、戦争に近づかない外交をすべき」と提起しました。さらに「行動を起こせ」と締めくくられた。
 丹羽さんの見解は、私たちの政治方向と大いに共通性があるものです。日本の有数企業の一つである伊藤忠商事の社長・会長まで務め、駐中国大使も経験された方が、こうしたご発言を、国民連合の全国総会でされた。これは大変なことですね。参加者は大いに勇気づけられました。内容は、機関誌「日本の進路」一月号に掲載し、私たちのwebサイトでも公表しています。大いに広めていただきたい。

──総括や情勢、方針をめぐる討議はどうだったのでしょうか。

山本 討議は非常に活発で、確信を深めるものになりました。さまざまな方面が議論になりましたが、私は三点ほどが印象に残りました。
 第一点は、朝鮮半島の緊張を緩和させるため日朝関係を敵対から国交正常化へ動かそうという角田義一氏、それに福岡県の北原守氏(元県議会副議長、県日朝友好協会会長)、お二人の提起に始まる議論でした。結論的には、世論喚起に向けて、「政府や国会議員が動かないのであれば地方議員から動こう」と大規模な全国地方議員訪朝団を提起したことです。
 二つ目には、福岡県の国民連合の皆さんが、この一年半ほど、全県各地で地域の課題を取り上げて地域の諸団体と共同して闘い世論を喚起し、成功させ信頼を広げ全県に影響と組織を広げてきた経験です。
 もう一点は、露木順一氏(元神奈川県開成町長、日本大学教授)が、「朝鮮問題は大事で自分もやるが、地域の経済問題を重視しよう。ここが弱いと勝てない」と提起された問題です。県知事など首長選を争う問題も出されました。
 こうして国民の怒りを結集して闘うことが確認されました。

──そうした成果を前提に、今年はどのように闘いますか。

山本 全体として、情勢と国民が求める課題での闘いを発展させ、国民連合を強化し、新たな政治勢力形成を促したいと思います。
 アジアの平和・共生の課題では、すでに「平和のための全国地方議員訪朝団」が、地方議員とその経験者の呼びかけで始まっています。北原守氏が呼びかけ人代表です。
 また、今年は日中平和友好条約締結四十周年であり、中国国際交流協会と記念する討論会をやる方向で調整中です。
 さらに、大学の先生方などにもご協力いただいて「平和をめざす自主のアジア政策」の確立を進めるようにしたい。
 第二に、沖縄県民の米軍基地撤去の闘いを支持し、全国で連帯して闘うことです。当面しては、二月四日投開票の名護市長選での稲嶺市長三選のための支援を、カンパを送ること、辺野古のゲート前など現地行動も含めて支援に入ることなどを全国に呼びかけています。
 この課題では、全国各地で、地域の課題での闘いを発展させ、安倍政権を追い詰めることが沖縄県民への最大の支援という観点でいっそう取り組みを強めたい。これは昨年、福岡県が辺野古埋め立て土砂搬出反対などで、東京が横田空域反対で、昨年各地で取り組んだことですがもっと発展させたい。不平等条約である日米地位協定の破棄、抜本改定を求めるような課題も重要です。
 第三に、国民生活、国民経済の危機打開のための闘いです。
 この課題で、私は全国総会直後に開かれた福岡県総会で決めた方針に注目しています。トランプ政権の国内産業保護政策と急速な電気自動車(EV)化で、国内の自動車産業、特にエンジン関連の部品産業は存亡を迎えます。トランプ当選の原動力となった「ラストベルト」地帯が日本に生まれかねない。
 自動車産業は、全国もそうですが、福岡県でも県の経済政策の中心産業です。自動車産業の集中する地域に地方議員を中心に調査団を組織して送り込んで、調査をしようと。中小企業も、そこの労働者も、商店街など地域全体が不安を持っているわけです。結果をもとに、県議会や市議会で取り上げていけば、また、住民の立ち上がりを促していけば大きな力になると思います。統一地方選挙もにらんで期待しています。

──国民連合の組織強化については、どうでしょうか。

山本 各都道府県で地域の課題、県民課題で闘いつつ、当面は、一九年の統一地方選をメドに、県政闘争、自治体闘争を発展させ、「知事を取り替える」政治目標を持った都道府県の国民連合の強化を図りたい。
 また、労働者の要求と闘いを支持することを国民連合としてもいっそう重視するようにします。そして、労働運動の中に、戦争反対・平和、日米同盟強化に反対し自主的な日本をめざす国民的な闘いの戦線の先頭に労働者が立とう、そうした国の進路の課題で広範な国民の先頭に立つことで国民各層と共に政権を取るのだという考え方、理論的に言えば統一戦線の観点ということになるでしょうか、そうした考え方を労働者の中に広げるようにしたい。このことは国民連合の運動を根本的に強化する上で非常に重要だと思いっています。労働党の皆さんにも、この点はとりわけ協力いただきたい。
 労働党の皆さんの日頃のご支援に改めて感謝申し上げるとともに、今後もよろしくとお願いいたします。

──長時間、ありがとうございました。「労働新聞」としても、国民連合には可能な協力を行っていきます。これからも、よろしくお願いします。

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